胃がん、大腸がんから偶然発見されることも/昭和医科大学理事・村上雅彦特任教授

転移しやすい食道がん

転移しやすい食道がん<30>

私どもの病院には胃がん、大腸がんが発見され、主治医に紹介されて患者さんが受診されます。その患者さんたちから、早期の食道がんが発見されるケースがあります。早期の食道がんは症状がないので、何かのついでに内視鏡検査を行って発見されるケースが多いのです。

胃がんで受診される方は60歳以降の方が多い。A男さんはクリニックでの内視鏡検査で胃がんが見つかり、主治医に紹介されて私どもの病院を受診されました。担当医が再度、胃がんの確認をしっかり行うために診察すると、内視鏡検査で早期の食道がんが発見されたのです。

「胃がんが見つかったときに、なぜ食道がんは発見されなかったのか」と疑問に思う人は多いでしょう。早期の食道がんは、より食道を得意としている医師でないと難しいところがあります。内視鏡検査では、胃がんに注目する医師が多いので、内視鏡を食道に入れてもスーッと胃へと通り抜けるので、見逃されるケースが少なくないのです。食道がんは、胃がんや大腸がんほど罹患(りかん)者が多くないので、食道に見た目で分かるような変化がないと見逃されやすいのです。

A男さんの胃がんは手術で切除し、食道がんは早期だったので、胃がん手術の半年後に内視鏡治療で終えることができました。早期の食道がんは半年くらい大きな変化がないので、そのような対応ができたのです。

胃がんが進行がんの場合、食道がんの内視鏡治療を先に行うと、食道がんを切除した後が収まるまで1カ月はかかるので、胃がんの手術が先になります。

このように、早期の食道がんが偶然発見され、内視鏡治療で済んだラッキーな患者さんも、私たちにとっては決して珍しくはありません。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)