鎌田式「死ぬときに後悔しない生き方」<47>
25年前「がんばらない」という本がベストセラーになり、無名の田舎医者が、テレビや新聞に取り上げられるようになった。テレビのニュース番組のコメンテーターをしたり、紅白歌合戦で特別審査員もさせてもらった。
貧乏の中でがんばって生きてきたが、がんばるだけの生き方には、弱点があると気がついた。
がんばるだけでは、もろくて壊れやすい。ところどころ、がんばらない生き方をしていると、ガラス細工のようではなく、鋼のように柔らかで強く新しい人間になると思った。
【甘え上手】
「甘え上手」と言われることがある。確かに、人に恵まれ、ときに甘え、大事にされて生きてきたと思う。上手に甘えると、甘えられる側も結構気持ちよくなり、いい関係が作られることがあることを経験してきた。
でも自分の中には、もう1人の自分がいることを知っている。寄りかかってきた人がいたら、踏ん張って支えてあげられる力持ちになること。
永六輔さんに、生前こんなことを言われていた。「がんばらないと言いながら、がんばっているのが鎌ちゃんの芸」。
ぼくが寄りかかるだけの人だったら、1度は寄りかからせてもらっても、そう長く何度も支えてはもらえないだろう。
がんばったり、がんばらなかったり。寄りかかったり、寄りかかられたりしながら、打たれ強くしなやかな、出るくいになってこられたと思う。死ぬときに悔いのない人生にしたい。