「前立腺がん」に「ホルモン療法」は有効も、骨密度が低下し骨粗しょう症になりやすい/土井直人

【カット】その不調、男性更年期障害かも

その不調、男性更年期障害かも<15>

男性ホルモンが低下した病気の「LOH症候群(男性更年期障害)」は、さまざまな生活習慣病などに結び付きます。それは、「骨粗しょう症」でも言えることです。

がんの罹患(りかん)者数で最も男性に多いのは「前立腺がん」で、2020年の罹患者数は8万7756人。前立腺がんの治療には「ホルモン療法」も行われており、非常に有効な治療法です。ただ、男性ホルモンを下げる治療法なので、骨密度が低下して骨粗しょう症になりやすいので骨折や腰痛などの症状が起き、生活の質が低下します。

次のような調査報告が発表されています。前立腺がんでホルモン療法を「受けたグループ」と「受けなかったグループ」を比較したのです。すると、ホルモン療法を受けたグループは受けなかったグループの1・4倍、骨折が40%増しになっていました。これが“男性ホルモン低下で骨粗しょう症になりやすい”ことを裏付けています。

このように、男性ホルモンが骨折を予防するのは、男性ホルモンの直接的効果だけではありません。男性ホルモンを女性ホルモン(エストロゲン)に変換するアロマターゼという酵素の働きにもよります。女性ホルモンには骨粗しょう症の予防効果があるのです。閉経後に女性が圧迫骨折を多く起こすのは、閉経に伴って女性ホルモンが急激に減少するからです。

LOH症候群の男性の骨粗しょう症や骨折の原因は2つ。(1)男性ホルモンの低下での直接的な骨の保護作用の低下。(2)女性ホルモンに変換できる男性ホルモンの低下。もちろん、もっとも重要なのは(1)なので、LOH症候群には十分注意すべきです。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)