歯学博士・照山裕子「口福のヒント」<2>
「髪は長い友達」という育毛剤のコマーシャルが、昔流行しました。
男女共に髪の悩みはつきもので、若いうちからのケアが鍵を握ると、今では誰もが知っている時代になりました。髪の毛同様、歯も失ってからでは手遅れです。「美容院に行く感覚で気軽に歯科医院へ」といったフレーズで定期受診を促すクリニックも多いですが、傷んでも切れば伸びてくる髪と違い、歯は自然に回復することがない点を鑑みると、より一層普段のケアが大事になってきます。
現代において、歯を失う原因の第1位は「歯周病」です。読んで字のごとく、歯の周りに発生する病気です。歯に穴が開く虫歯と違い、自分で口の中をのぞいても、見つけることは大変困難です。自覚症状に乏しい点も特徴なので、「何かおかしいな」と感じたら歯がぐらぐら揺れていて驚いたという患者さんも少なくありません。
起きたら口がねばつく、隙間をフロスで掃除したら出血した、といった初期段階で歯科医院に相談してください。早めに発見できれば、少なくとも進行を遅らせることはできます。口の中の些細(ささい)な変化に、いい意味で敏感になってもらうことが大切です。
歯周病予防の要はセルフケアです。歯ブラシの毛先が歯周ポケットに差し込まれる角度を意識し、歯と歯ぐきの際を磨きます。動かし方は1本ずつちょこちょこ磨きのイメージです。歯ブラシのヘッドの大きさは「自分の親指の爪のサイズ」を目安に選びましょう。毛のかたさは、「ふつう」か「やわらかめ」が歯ぐきを傷めず安心です。
歯は生後半年頃から生え始めます。18歳ごろまでは虫歯リスクに注意をする必要がありますが、それ以降は歯周病予防にシフトチェンジです。こうした観点から考えると、歯ブラシは髪の毛と同じくらい人生を共にしている長い友達と言えますね。選び方はくれぐれも慎重に。