歯学博士・照山裕子「口福のヒント」<47>
年齢と共に歯周病リスクはつきものですが、まずは磨き残しを減らし、歯周病菌が繁殖しにくい環境に導くことがベストです。若い頃は少々ずぼらであっても、免疫機能や抗酸化力、そして歯ぐきのコラーゲン代謝などが活発であるため歯周病が進行しにくかっただけなのです。
口の中の粘膜は新陳代謝がとても早いです。つまり、足りない栄養素があれば、それに反応した症状が早期に出るという特徴も知っておく必要があります。ときどき患者さんから「口内炎が頻発する、治りにくい」といった相談がありますが、これは肌に比べて口腔(こうくう)粘膜の感受性が高いからです。加齢によって低下した回復力をサポートするには、やはりまんべんなく栄養を摂取する心がけが基本になります。
歯の本数が減ると、タンパク質やビタミンの摂取量が低下することがさまざまな研究でわかっています。歯周病由来で歯を失っているのであれば、栄養バランスが偏ることで、さらに残っている歯までも病状が進行する可能性があります。
歯が無い部分には適切な装置を施し、咀嚼(そしゃく)機能を回復させて体に必要な栄養を摂取すること。これだけで十分改善の余地があります。見た目だけに固執せず「食事がしっかり摂れる」生活を目指した計画を主治医と相談するようにしてください。
歯ぐきを構成するコラーゲンの生成には、ビタミンCが必須です。昔は「壊血病」と名付けられていたように、ビタミンC欠乏症は血管を弱め、全身に内出血や斑点のような出血が現れます。皮膚と異なり、歯ぐきはピンク色なのでわかりにくいのですが、ビタミンCが不足すれば当然赤く腫れ、出血しやすいコンディションになります。また、コラーゲンの源であるタンパク質自体が不足すると、線維芽細胞や免疫細胞の働きが弱くなるため、防御機能や傷を回復させる治癒力も落ちてしまいます。