がんだけじゃない、誤嚥や感染症でも命に関わる~肺を守ろう!<23>
季節の変わり目は、ハウスダストなどで気管支ぜんそくを起こしやすい時期でもある。気管支ぜんそくは、慢性的な炎症が気管支に起こって気道が狭くなり、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)を特徴とした呼吸器の病気だ。小児ぜんそくは知名度が高いが、大人になってから呼吸困難を伴う激しいぜんそく発作に見舞われるケースもある。
「気管支ぜんそくは、かつては、繰り返す呼吸困難のために亡くなる人が多かったのですが、吸入ステロイド剤などの開発で死亡率は減少しました。2019年には、重症の気管支ぜんそくに対する治療薬として生物学的製剤『デュピルマブ』が承認され、症状改善に役立っています」とは、公益財団法人結核予防会 複十字病院呼吸不全管理センター長の木村弘医師(奈良県立医科大学名誉教授)。
「『デュピルマブ』は、アトピー性皮膚炎や慢性副鼻腔(びくう)炎など、炎症を伴うさまざまな病気の治療薬として承認を得ています。2025年3月には、これまでの治療によって効果が不十分な慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)の治療薬としても承認されました」(木村医師)。
デュピルマブは、炎症に関わる物質(インターロイキン-4やインターロイキン-13)の作用を防ぐ働きがあり、従来の治療薬・経口ステロイドが止められない重症患者の一部で用いられる。たとえば、既存の治療薬でも改善しなかった重症のアトピー性皮膚炎では、半年で正常の皮膚を取り戻せるほどの効果が、デュピルマブで報告されている。この薬が、喫煙を最大原因とする肺の病気・COPDの治療薬になったのだ。
「COPDの患者さんからは『壊れた肺は治らないでしょ』とよくいわれますが、新たな薬の開発で症状が著明に改善する患者さんもいらっしゃいます。ぜひ早期発見と早期治療を心がけていただきたいと思います」と木村医師は話す。