不整脈IQを鍛えよう<28>
前回は心房粗動について書きました。「心房が粗く動く」からですが、「心房が細かく動く」心房細動という不整脈もあります。
1分間に250回前後の速さで電気が旋回する心房粗動の心電図は、ノコギリの歯形に似たギザギザした規則的な波形になります。対して、心房細動ではより細かい不規則な波のような波形が1分間に350回以上記録されるために細動と言われます。心房粗動は電気が右心房の同じ所を規則的に旋回しているのに対して、心房細動では主として左心房内、そして右心房へと互いに伝わりながら1分間に不規則かつ一見無秩序な旋回を繰り返します。
両者は心電図では一目瞭然です。また不整脈を起こすのは心房粗動では右心房、心房細動では左心房を主としているのですが、症状がよく似ており“親戚同士”の不整脈です。通常は動悸(どうき)や息切れ時のめまいなどですが、全く症状がない場合や運動で急に脈が速くなるなどよく似ています。
もともと心房粗動であっても、経過中に20~30%の患者に心房細動がみつかります。心房細動の患者では不整脈の薬のため、20%弱が突然強い動悸を訴えて心房粗動がみつかることがあります。薬を飲み続けることはあまり得策ではないことが多いのです。最も怖いのは、不整脈が止まらないために心臓のポンプ機能が落ちて心不全になることや、血がよどむことで塊ができてしまい脳梗塞を引き起こすことです。恐ろしい不整脈です。
ショッキングな報告があります。心房細動と心房粗動の発生は従来高齢者に多くみられましたが、2021年の世界的疫学研究では、この30年間で比較的若年層の発生率が57%も増加していることが報告されました。