不整脈IQを鍛えよう<29>
心房粗動、心房細動の大きな問題は、心不全や脳梗塞を起こしてしまうことです。心不全は血液を送り出す心臓のポンプの不調で起こります。
特に心房細動では1分間に350~400回もの電気が心房を流れ続け、約半分が下の部屋の心室に流れ込みます。心室は収縮と弛緩(しかん)を頑張ろうとしますが、流れ込んだ電気は1分間に150~200回前後にもなります。心筋は疲れて力が落ちて血液をうまく送り出せません。これが急性心不全につながり、心房細動が治らなければ慢性心不全になっていきます。
このように心房細動と心不全の関係は理解しやすいですが、心房細動と脳梗塞の関係はどうでしょうか。なぜ脳梗塞を引き起こすのでしょう?
通常の心拍数は1分間に60回程度ですが、それに合わせて心房と心室が収縮して血液を心臓から送り出します。医学生には餅つきに例えて教えていました。餅をこねてつくように、心房と心室が順次収縮する協調作業です。血液には赤血球・白血球・血小板や糖分・ミネラルや溶け込んだニカワ成分など多くのものが含まれているので、よどまないように心臓は常に動いています。工事現場で水に溶かしたセメントを固まらせないようにコンクリートミキサーが休みなくかき混ぜているのと同じです。
心房細動になると、心房はあたかも感電しているかのようにけいれんしてしまい血液を心室に送り込めません。血液は心房の中でよどんでしまい、固まりやすくなってしまいます。血栓ができて脳に運ばれ、血管が詰まってしまうと脳梗塞が引き起こされてしまうのです。一般には48時間心房細動が止まらないと脳梗塞のリスクが格段に高くなります。