不整脈IQを鍛えよう<39>
心房細動による心臓のフランケンシュタイン化を、もう少し掘り下げてみましょう。心房細動が次の心房細動を生み続ける電気的リモデリングが1年あまり続くと、傷みが徐々に心房全体に広がって腫れと変形が起こり始めます。これを構造的リモデリングといいます。リモデリング(再構築)とは持続的な心房細動による心臓の機能的、構造的な変形のことで、難治性の心不全などに導く恐ろしいシナリオが待っています。
検診で見つかるような心房細動であっても放っておくとリモデリングが進みます。しまいには心房と心室の仕切り弁の建てつけも悪くなって閉まりにくくなり、弁膜症も併発してきます。心不全を繰り返す「フランケンシュタイン心臓」が完成してしまうのです。静かに進行して後戻りできない、もう治らない心房細動です。不整脈が心筋を傷害して心臓を壊していく、心房細動は極めて異質な不整脈なのです。
2つの医学研究を紹介します。1つめは、発作性が持続性心房細動にいつ移っていくのかを調べた日本の研究です。発作性心房細動の患者170人を14年間追跡したところ、77%が慢性化し、年に5・5%ずつ心房細動が止まらなくなるという結果でした。
困ったことに、心房細動が持続性に移行すると動悸(どうき)も症状も軽くなることが多いのです。そこで2つめの、12編の医学論文をまとめた持続性と発作性心房細動患者約10万人の研究です。たった2年程度の追跡にもかかわらず、持続性心房細動では脳梗塞発生率で1・4倍、死亡率でも1・2倍と明らかに高くなりました。そうなる前に手を打つべきです。さあ、心房細動を「いつ治す」「どう治す」「どうつきあう」のかを考えましょう。