不整脈IQを鍛えよう<51>
プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんのエベレスト登頂に多くの人々が感動するのは、80歳という最高齢での快挙だけではありません。それなりの余生を送ることを選択せずに難治性の心房細動に抗い、自分の意志に従って道を切り開き、満身創痍(そうい)になりながらやり遂げたからです。
「心房細動を治したい」「まだやりたいことがあります」。中高年はもちろん超高齢者に至るまで、診察室を訪ねてくる心房細動の患者さんには善く生きるための明快な目的があることが多いです。
「ミスター富士山」と呼ばれる方をご存じでしょうか。世界で一番富士山に登られた実川欣伸さん、82歳です。昨夏までに2242回です。昨年、心房細動のアブレーション治療を受けられました。実川さんは「まだやれる」「もっと登りたい」と、前向きの強い意志をお持ちです。当院に来るまでに心臓にはペースメーカー、弁膜症などもありながら、富士山への思いは計り知れません。
不整脈の患者さんの中には「もう年だから」など、時に健康を手放すような残念な話をされる方がいます。どうでしょうか。善く生きて善く老いることを考えると、前向きで時には自分の人生に挑む言葉や姿勢が不整脈を超えるように思います。
皆さんには是非、今回の連載を読み返していただきたい。また、これからも不整脈のIQを鍛えて下さい。食事やアルコール、タバコなどの嗜好(しこう)品、運動、ストレスなどの生活習慣をいかに考え実践して不整脈に立ち向かうか。不整脈の理解を深めて怖がらず、自分の善い人生を手に入れて欲しいのです。また日刊スポーツの紙面で、元気にお目にかかれることを楽しみにしています。(おわり)
◆お知らせ 次回の健康連載は「高血糖をいわれたら~糖尿病から身を守る」です。医療ライターしんどうとも氏が担当します。ご期待ください。