加齢性難聴“加齢性”だけに生活習慣の改善が重要/東大大学院・樫尾明憲准教授

あなたにも起こる加齢性難聴

あなたにも起こる加齢性難聴<1>

高齢になると共に聞こえが悪くなると、自分自身で「年だからしょうがないか…」と思ったり、周りの人から「もう若くないんだから…」と言われることが多くなったりします。加齢とともに聞こえにくくなるのが、誰にでも起こる、「あなたにも起こる『加齢性難聴』」です。苦しむ人の多い加齢性難聴を正しく知ってしっかり対応してもらうために、今日から30回の連載スタートです。

加齢性難聴は、聞こえに関係する「耳の細胞」や「聞こえの神経」に老化現象が起きてくることで起こる難聴、と言われています。実際、30代くらいから徐々に変化が表れます。加齢とともにはっきりしてくることは、愛知医科大学の内田育恵特任教授が愛知県の住民を対象に長期調査(2012年に報告)を行ってわかりました。

それによると、40代くらいから難聴の検査を受ける方が出てきて、50代くらいから難聴者が出始めます。そして、60代、70代と難聴者が急速に増えるのです。男女差は、男性の方がより早く難聴を起こします。65歳以上では、女性は27%に対して男性は43%と多いのです。男女合わせると難聴者は3人に1人になります。これが70代になると、男性では50%に難聴が出ている状態です。ただし、難聴の程度には差があり、軽度から重度の人まで個人差のあるのが特徴です。

そして、加齢性難聴に男女差があるのは、人それぞれの生活習慣などが影響しているといわれています。「騒音暴露(騒音にさらされること)」「喫煙」「動脈硬化」などが大きく影響しているといわれています。喫煙は男性の方が女性よりもグンと多いので、男女差に出ているといわれています。“加齢性”だけに、生活習慣の改善は重要です。

(医学ジャーナリスト 松井宏夫)

◆樫尾明憲(かしお・あきのり)東京大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学准教授。東京大学医学部卒業。専門は耳科学、人工内耳。加齢性難聴から高度難聴まで、聞こえのメカニズム解明と最新技術を用いた治療に精通する。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医として、臨床の最前線で人工内耳手術を数多く手がけ、聴覚障害者の生活の質向上に尽力している。