新型コロナ感染リスク高まる夏 5類に移行して「風邪と同じ」なんて軽く思っていませんか? 

【24年死者3万6000人 インフル2900人】

人類史を変えるような猛威を振るった新型コロナウイルス感染症。23年5月の5類感染症移行を機に「風邪と同じ」なんて軽く思っていないだろうか。その実態や流行の傾向が分かってきた現在、病原性は季節性インフルエンザ以上に高いことが明らかになった。今なお脅威は大きく、高齢者を中心に死者が発生し続けている。新型コロナウイルス感染症の最前線で治療と研究にあたる、埼玉医科大学国際医療センター(埼玉県日高市)の関雅文教授(56)が警鐘を鳴らす。

【クラスター続く】

関教授は開口一番こう訴えた。「新型コロナは終わっていません。今でも毎日感染が報告され、老健施設などでのクラスターが続いています。重症化した高齢者が、脳梗塞や心筋梗塞などで救急搬送されているのです。この現実をあらためて知ってほしい」。

新型コロナによる死亡数約3万6000人(24年)は、季節性インフルエンザの死亡数約2900人(同)の10倍以上。感染数は圧倒的に季節性インフルエンザが多いのだが、死亡数で両者の関係は逆転する。新型コロナは「落ち着いた」と思われているが、依然「死に至る病であること」を忘れてはいけない。

【高齢者は特に要注意な血管に関連する感染症】

関教授は「肺炎だけでなく脳血管や心血管への障害を引き起こす、血管に関連する感染症です。重症化すると時間の猶予なく致死的状態に陥ります」と、最新の研究から指摘する。

さらに関教授は「新型コロナウイルスは、気温、湿度に影響されにくく、年2回のペースで変異を繰り返しています。これは年1回のインフルエンザの2倍のスピード。お盆と正月に流行のピークを迎えるのが現状です」と説明する。

お盆と正月は人流が盛んになる時期。その点で進学、就職など新年度を迎える春も注意が必要だ。人流が盛んで変異が速いと、それだけ新規感染の場面が多くなるということ。高齢者が同居している家族はなおさら感染対策と普段からの予防の心がけが重要になる。

【年2回も変異…】

関教授は「発症すると短期間で重症化する新型コロナでは、治療より予防が大切です」と言う。そして「最も有力な方法はワクチン接種です。接種したほうが、しない人より圧倒的にベネフィット(利益)が大きいことが今のコンセンサスになっています。これは厚生労働省の調査で明確なエビデンスが確認されています」と力を込める。

日本では年1回65歳以上などを対象に接種が行われているが、欧米、アジア諸国では流行期に合わせて年2回接種を推奨している。関教授は「日本も年2回、リスクが高まる夏に備えて春にもワクチン接種すべきでは」と提案する。

新型コロナの話題が減った今、手指衛生やマスク着用をおろそかにしてないだろうか。今では懐かしく聞こえる3密回避もそうだ。感染予防の基本に返る一方、日常生活での積極的な対策を実践できれば心強い。

【食事でも工夫を】

関教授は「普段の食事を規則正しく3食取って、栄養状態を整えておくこと」とアドバイスする。さらに「ヨーグルトや長寿にいいと言われる発酵食品は、健康や免疫力の維持に役立つという科学的データの裏付けがそろっています。また複数の乳酸菌で新型コロナ感染症予防、あるいは重症化予防に関して、一定の効果がある可能性が示唆されています」と続けた。

ヨーグルトは現代の食生活に浸透し、発酵食品である納豆、みそ、漬け物などはなじみ深く、献立にも取り入れやすい。関教授は、「自分に合うものを毎日コンスタントに取ることが大事です」と語った。

最後に関教授は「自分のためにも周りの方のためにも、決して新型コロナを侮らないでください。自分の命、家族の命が奪われることのないよう、予防の自覚と責任を持って日常生活を送ってほしいと思います」と、心情を言葉にした。

◆関 雅文(せき・まさふみ)埼玉医科大医学部国際医療センター教授。1970年生まれ。94年長崎大医学部卒業、同第二内科入局。助教、大阪大医学部付属病院副部長、東北医科薬科大医学部教授を経て、22年より現職。専門は感染症内科、感染制御科、呼吸器内科、内科、ウイルス学。