あなたにも起こる加齢性難聴<25>
「補聴器療法」で改善が見られない場合は、体外装置と体内装置からできている「人工内耳」での対応となります。体内装置は体内に埋め込むので、手術が必要になります。では、人工内耳の手術はどのように行われるのでしょう。
人工内耳の手術は全身麻酔で行います。そして、「耳後切開」と言われているように、耳の後ろを5~7センチくらい切って骨を出します。その骨を削っていくと音を伝える骨が少し見えてきます。これを目安に、さらに骨を鼓膜の裏側に向かって削ります。ここには顔、味覚の神経が走っていて、3ミリしか切る幅がありません。そこを1・5ミリのドリルで削ります。
神経を傷つけないように、最も術者が気をつかう場所です。すると、中耳に到達し、内耳の入り口が見えるようになります。入り口の膜を切開して電極を手作業で入れます。その電極のサイズは1・6~3センチまでです。電極以外に、体内装置の本体があります。それは耳の後ろの皮膚と骨の間に入れます。
人工内耳を入れ終わると、皮膚のところは縫い合わせて手術は終了です。入院期間は、早いと5日間程度です。合併症が少ないこともあって、早めの退院になってきています。
この手術は、状況によって両耳に入れる人もいます。ただ、成人の場合、両耳を行う人は多くはありませんが、日本の基準は両耳OKになりました。この場合、多少なりとも補聴器で会話ができるのであれば、片耳を行う。それで、「補聴器よりグンと良いです」、加えて「反対側も人工内耳にしたい」のであれば、反対側の耳の手術も行います。ただ、片側だけで終わっている人もかなりいます。両耳が使えることはとても良いことなので、主治医としっかり相談をし、よく話し合うことが重要です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)