進化する治療を知ると肺がんも怖くない<20>
『肺がん』の治療は「手術」「薬物療法」「放射線療法」が3本柱。今回は、薬物療法にスポットをあてます。薬物療法は全身療法。肺がんで使われているのは「抗がん剤」「分子標的薬」「血管新生阻害薬」「免疫チェックポイント阻害薬」の4種類です。
◎抗がん剤 がん細胞だけではなく正常な細胞もたたいてしまうのが、抗がん剤です。がん細胞だけをたたくのではないので、いろんな副作用がでます。基本的には、これまでの実績からプラチナ製剤のシスプラチンを中心に組み合わせた治療が行われています。「抗がん剤の併用治療で副作用が大変」、と思うかもしれませんが、治療効果はきちっと出ています。
◎分子標的薬 がん細胞特有のたんぱく質や遺伝子をターゲットにするのが分子標的薬。がん治療では、今、中心的に使われています。がん細胞の遺伝子変異を見つけて分子標的薬を使うので、「遺伝子検査」は必要不可欠です。
◎血管新生阻害薬 がん細胞も発育するには栄養が必要。その栄養を取るために周囲に新しい血管を作るのです。そして、がん細胞はどんどん成長します。その血管の新生をストップさせるのが新生血管阻害薬。新生血管ができないとがん細胞は栄養不足になり、がん増殖は抑えられます。俗にいう“兵糧攻め”です。
◎免疫チェックポイント阻害薬 薬物療法4種類の中で、これが一番新しい薬です。人間の身体は免疫システムが働いており、外敵が侵入してくるとそれをたたいて身体を守るようになっています。しかし、免疫が過剰になると自分自身を傷つけることがあるので、行き過ぎを抑えるブレーキもついています。がん細胞はそのブレーキをはずしてどんどん成長するのです。免疫チェックポイント阻害薬は、普通に免疫系が働けるようにします。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)