「がん」「認知症」との関連/日本肥満症予防協会・宮崎滋理事長

健康連載「11の健康障害を起こす『肥満・肥満症』対策」

11の健康障害を起こす“肥満・肥満症”対策<13>

「肥満」が原因で引き起こされる健康障害は11にも及びます。その11の健康障害の詳細は前回までに紹介しました。今回は、その11にプラスされた「がん」「認知症」「コロナ感染症」の三つの中から、「がん」と「認知症」をとりあげます。

がんは「肝臓がん」が分かりやすいと思います。内臓脂肪型肥満になると肝臓に脂肪がたまりやすくなります。肝臓に脂肪がたまると肝機能が低下し、脂肪肝に--。この肝疾患には肥満による代謝障害に加えて「お酒を飲む」「高血圧・糖尿病がある」「お酒は飲まないが脂質異常症がある」の三つのタイプがあります。

これらはいずれも脂肪性肝疾患から脂肪性肝炎に。そして、肝臓の繊維化によって肝硬変になります。肝硬変の先は肝臓がんですが、脂肪性肝炎の中には肝硬変を飛び越えて肝臓がんになるケースも少なくありません。“たかが脂肪肝と思ってはいけない!”ということです。

肥満が関係するがんは、肝臓がんだけではありません。「大腸がん」「前立腺がん」「子宮内膜がん」、閉経後の「乳がん」なども肥満との関連が確実とされています。

そして、「認知症」--。肥満の認知症へのメカニズムはまだはっきりとはわかっていません。ただ、男性で40、50代のころに肥満だった人は認知症になりやすい、という研究報告は出ています。脳の神経細胞に神経を鈍らせる物質がどんどんたまってきます。内臓脂肪型肥満では、その物質が増えるのです。加えて、肥満の人は高血圧や糖尿病を合併している人が多い。それが「脳血管性の認知症」になりやすくしています。

認知症は65歳以上の高齢者では3人に1人、90歳以上になると2人に1人が認知症です。それに対応するためには40、50代での肥満予防はしっかり行っておくべきです。もちろん、それは、がん予防にも大きく貢献することをしっかり認知しておきましょう。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)