11の健康障害を起こす“肥満・肥満症”対策<24>
「肥満症」の治療薬として、特に注目されている「ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)」。今回は、ゼップバウンドの使い方などにスポットを当てます。
ゼップバウンドは肥満症であればだれでも使えるのではありません。その使用対象となるのは「高血圧」「2型糖尿病」「脂質異常症」のどれかに罹患(りかん)していて内服治療中の人。さらに<1>「BMI(体格指数)が35以上の高度肥満症」、<2>「BMI27以上の肥満症で、肥満症の11の健康障害が2つ以上ある」ことに加え、6カ月間に3回栄養指導を受け生活習慣改善の努力をしても減量効果がない場合、ゼップバウンドが使えます。この点は、肥満症治療薬の「ウゴービ(一般名:セマグルチド)」と同じです。
そして、ウゴービと同じくゼップバウンドも自己注射で行いますが、ゼップバウンドは自己注射の期間が長く、薬の量が多くなっています。
週に1回の自己注射を72週行い、薬は2・5ミリグラムから始め、4週ごとに2・5ミリグラムずつ増量し、21週目以降は最大量の15ミリグラム投与します。ただし、現状で使われている投与量は7・5ミリグラムまでが最も多いようです。薬の量を段階的に上げ、有効性が出るまで4週間ごとに診ていきます。
もちろん、ゼップバウンドは「食欲中枢を抑える」「腸管の運動を抑える」ので、副作用はあります。吐き気、嘔吐(おうと)、食欲減退、浮動性めまい、胃食道逆流症などです。
何より重要なのは、自己注射での有効性をしっかり診ていきますので、月1回の受診が必要です。そして、自己注射が終了して「痩せたら終了」というものではありません。「肥満はなぜ悪いのか?」ということと、食事・運動などについての栄養指導を2カ月に1回行いますので、そこで肥満の原点、生活の改善をしっかり身につけてください。それが理解できないと、すぐに元の肥満へと戻ってしまうことを忘れないでください。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)