今回から2回にわたり、壁の傾斜に合わせた体の使い方やテクニックについて説明します。

 まずはスラブと呼ばれる傾斜の緩い壁を登るときによく使われるテクニックを紹介します。代表的な技が「ハイステップ」です。腰の位置よりも高いところにあるホールドなどに足を乗せて、その足に重心を移動させ、立ち上がって登る技です。

 壁を登るときは腕に意識がいきがちですが、「ハイステップ」を使うことで、手の力を抜いて次のホールドを探し、つかむことができます。足を上手に使って力を分散することがポイントです。傾斜が緩いからといって初心者向けというわけではありません。スラブは体重移動やバランスが求められます。

ハイステップ
ハイステップ

 続いてスラブを登るときによく使われる2つのテクニックを紹介します。

 壁に対して体を正面に向けて、昆虫みたいに登る「正対」です。腕を伸ばして、腰を壁に近づけて登ることが重要です。手だけで登ると疲れるので、足もしっかり使って登りましょう。

 これに対して体を横に向けて、体を左右にねじって登っていく技を「カウンターバランス」といいます。重要なのは力を抜いて手を伸ばすこと。足で蹴ると推進力が生まれて次へ進んでいけます。手の力をあまり使わずに登っていけるので、女性や年配の方、子供にお勧めの技です。

 「ハイステップ」と「正対」「カウンターバランス」をうまく組み合わせて、動きをつないでいけば、スタートからゴールまでスムーズに攻略できると思います。

ボルダリング連載4
ボルダリング連載4

 次回は強い傾斜の壁を登るときの体の使い方や、テクニックを説明したいと思います。

(2017年6月7日付本紙掲載)