北京、ロンドンとオリンピック(五輪)2大会に出場しましたが、応援の大切さも分かったし、プレーできたことは財産です。北京五輪では開会式に出ましたが、下から見上げた景色は、今でも忘れません。選手村も五輪パークも盛り上がっていて、街全体に活気がありました。

選手時代は他の競技をあまり見ていません。自分の競技しか見ていないので、結果は選手村に張り出されて知るくらいです。選手と会うのも食堂ぐらいしかなく、競泳で金メダルを獲得した北島選手に「おめでとう」と声をかけた程度。選手村ではメディアで報道されていることや、盛り上がっていることなどは実際には分からないんです。

リオ五輪ではメディアの仕事で行きました。バドミントン女子ダブルスで金メダルを取ったタカマツペアの表彰式で、日の丸が揚がった瞬間はグッときましたね。日本という国を一番誇らしく思った瞬間でした。

自国開催で選手はプレッシャーが大きいでしょうが、それを力に変え、自分への挑戦に置き換えられる人が活躍すると思います。自分が一番ハッピーになれる大会であってほしい。日本のために、応援してくれる人のために、というよりは自分がハッピーであれば周りもそうなると思って、自分自身が満足できる大会にしてほしいです。その先にメダルがあると思います。

僕自身はメダルに届かず、結果には納得できませんでしたが、4年に1回のためにやっているというよりは、それまでの苦しい経験を含めて、たくさん勉強できました。今の選手たちも、自分を否定するのはよくない。成績にかかわらず、やった努力もあるから、負けていたとしても、受け入れてほしいです。グッドルーザーという言葉もあるので、自分を肯定し続ける大会にしてほしいと思います。

今は米国の五輪委員会と一緒に、選手の受け入れや対応などの仕事をしているので、関わった人は応援したいですね。競技で注目しているのはスケボー、スポーツクライミングなどのアーバンスポーツ。これからも続きますし、日本文化になじみのない競技が、どうなっていくか楽しみです。(300人目)