来年の東京大会はBMXフリースタイルにとって初めての大きな舞台です。新型コロナウイルスの影響で不安もありますが、1年の延期を前向きに考えていきたいと思っています。

6月9日にはオリンピック(五輪)代表選手を(連盟のある)岡山で発表しました。スポーツ界の会見や発表はオンラインがほとんどでしたが、選手の生の声を伝えたくてメディア公開もしました。悩みましたが、選手たちも「会見がしたい」と言ってくれましたし。やってよかったと思っています。

選手を紹介する時、感極まってしまいました。偶然だったのですが、発表の日は3年前に東京五輪の追加種目に決まったのと同じ9日。実は前夜、いろいろな事を思いだし、考えながら「泣いちゃうかも」と思っていたんです。本当に、そうなりました(苦笑)。

連盟を立ち上げたのは、5年前。五輪種目になるという話が持ち上がり、そのためには組織が必要だったからです。五輪入りを反対する意見もありました。我々のカルチャーを守るためです。でも、誰かがやらないと。それで競技を引退し、理事長として連盟をつくったんです。

確かに苦労もありましたね。仲間からは「(五輪への)犠牲者」なんて、言われていますから。でも、周囲が助けてくれた。特に、選手が頑張った。五輪代表に決まった(男子の中村)輪夢と(女子の大池)水杜(みなと)は、競技力はもちろん、人間力もある。彼らが、BMXを引っ張ってくれていると思います。

他のライダーたちも協力してくれました。競技成績は輪夢と水杜が抜けているけれど、2人を盛り上げてサポートしてくれた。みんなの力があったから、ここまで来ることができた。彼らの存在はたのもしいし、本当に感謝しています。

来年の五輪では、金メダルがとれるといいなと思っています。昨年世界チャンピオンになった輪夢は、この1年でまだ伸びる。十分に期待できます。水杜も一昨年のワールドカップ(W杯)で優勝しているように可能性はあります。ただ、成績だけではないのがBMX。一番望んでいるのは、2人が笑っていられる大会になることです。

五輪はBMXのスポーツ化、メジャー化に大きな意味を持ちます。多くの人に知ってもらえる。ただ、競技だけでなく音楽やファッションなども含む「ストリートカルチャー」は大切にしていきたい。人と争うのではなく、つながること。ライダー同士はもちろん、観客も一緒に大会を盛り上げる。五輪をきっかけに、そんなBMXの「一体感」を感じてほしい。だから、五輪が楽しみなんです。(308人目)