9連覇目指す宮城MAXが準決へ 藤井郁美が貢献

富山WBC戦でシュートを放つ藤井郁美

<車いすバスケットボール:日本選手権>◇3日◇東京体育館

 リオデジャネイロ・パラリンピック日本代表主将の藤本怜央(33)を擁し、9連覇を目指す宮城MAXが準々決勝で福岡breezを70-52で下し、4日の準決勝進出を決めた。

 今大会から選手5人中2人まで女性選手が出場でき、男女混成チームが可能になった。車いすバスケットは障がいの重い方から1~4・5まで0・5刻みで選手の持ち点があり、5人の合計が14点以内でなければならない。女子選手1人が入ると上限の14点に1・5点が加算され、2人なら3点で最大17点になる。

 同チームは初戦から女子の藤井郁美(34)を先発させた。ブンデスリーガ(ドイツ)でプレーする藤本をアシストするなどチームの勝利に貢献した。「最高峰の舞台に女子選手がコートに立てるようになったということに重みとプレッシャーを感じています。女子が入ることで、男子のハイポインター(障がい軽い選手)を入れることができる。相手チームのディフェンスを引きつけておけば、フリーでシュートが狙える。そこでしっかり得点しなくてはいけない。そういう役割を自覚して臨みました」と語った。

 藤井は小学3年からミニバスケットを始めた。15歳の時、骨肉腫で大腿(だいたい)部と膝関節を切除し、人工関節を装着する手術をした。日常的には歩行可能だが、走るなどの運動はできない。高校2年の時、出身地の神奈川県で車いすバスケットを始め、スキル向上のために単身で宮城MAXのある仙台市へ移り、男子選手に混じって鍛錬を重ねてきた。08年北京パラリンピックには攻撃の要として出場した。「練習でもいつも男子と一緒にプレーしてきたから、今大会でも女子だからという意識は特にありませんでした」。

 日本女子代表は12年ロンドン、16年リオデジャネイロ・パラリンピックの出場を逃した。同じチームに所属する司令塔の藤井新悟は夫。2歳4カ月になる蒼空(そら)ちゃんを育てながら、東京大会に2人で出場することを目指す。【宮崎恵理】