ファンを増やすパラスキー、ボッチャの交流イベント

大日方邦子氏

<大日方邦子のおびパラワールド>

4月6日に新潟県津南町のスキー場で、日本障害者スキー連盟の協賛企業の社員やご家族が、日本代表の選手たちと一緒にスキーを楽しむ交流イベントを開催しました。2回目の今年の参加者は約50人。大回転と回転の中間くらいの初級者でも滑りやすいコースを、事前に自己申告したタイムを目指して滑るゲームで大いに盛り上がりました。

会場で選手を応援することはあっても、同じコースを一緒に滑る機会はなかなかありません。あのプロゴルフのプロアマに似ているかもしれません。選手がどれほど華麗に滑るのか分かっていただいたと思いますし、何よりもテレビで目にすることのできない素顔を見て、より身近に感じてくれたと思います。

日本ボッチャ協会も同じような取り組みをしています。3月に開催された東京カップです。2年前に始まった大会で、予選を勝ち上がった一般参加の4チームと、小学校、高校、大学、シニアの優勝チームが、日本代表の「火の玉ジャパン」と真剣勝負できる大会です。選手のレベルの高さを肌で感じながら、交流も楽しめます。

このパラスキーとボッチャの選手と一般の人の距離を縮める工夫は、きっと20年以降の競技普及につながると思っています。東京大会へ向けて選手の強化はもちろん大切です。同じように選手と交流したり、競技を体験することが、パラスポーツの普及には必要だと思っています。大会の試合会場に足を運ぶ大きな動機づけにもなります。

実は今、渋谷区ではボッチャの普及に力を入れています。幅広い世代が一緒に楽しめる競技なので、いろんなレガシー、可能性が期待されています。私も同区の教育委員として、子どもからシニアまで参加できる大会を検討しています。今月25日まで新庁舎で開催されていた20年大会の競技を紹介するイベントでも、ボッチャが体験できました。

20年大会開幕まで500日を切り、パラスポーツに関心を持つ人も増えました。応援しようという空気も広がっています。競技団体もいろんな発信をするチャンスです。短く太くではなく、細く長く。そんなパラスポーツのファンをどれだけ増やせるか。これが今、私たちが一番やるべきことだと思っています。

◆大日方邦子(おびなた・くにこ)アルペンスキーでパラリンピック5大会連続出場し、10個のメダルを獲得(金2、銀3、銅5)。10年引退。現在は日本パラリンピアンズ協会副会長で、平昌パラリンピック日本選手団長を務めた。電通パブリックリレーションズ勤務。46歳。