車いすバスケ日本が韓国下す、全12選手動員し変化

日本対韓国 第1Q、秋田啓(中央)はゴール下で相手3人にマークされながらシュートを放つ(撮影・小堀泰男)

<車いすバスケットボール:男子4カ国対抗戦ワールドチャレンジ・カップ>◇最終日◇1日◇東京都調布市・武蔵野の森総合スポーツプラザ◇3位決定戦

昨年の世界選手権9位の日本は同14位の韓国を50-36(13-8、10-12、11-8、16-8)で下した。

日本は前半、韓国の守備を崩せずに苦しんだが、全12選手をコートに送り込みながら後半に突き放し、1次リーグに続いて連勝。古沢拓也(23=パラ神奈川SC)、藤本怜央(35=宮城MAX)、秋田啓(29=岐阜シャイン)が10点ずつをマークするなど、10選手がゴールを決める層の厚さをみせた。

「重い試合だった。突破口を探し続けたが、後半に突き抜けることができて良かった。守備が崩れなかったのが勝因です」。及川晋平監督(48)は大きく息を吐き出しながら試合を振り返った。前半は23-20。大会初勝利を目指す韓国に食い下がられたが、メンバーを入れ替え、複数のユニットで攻撃に変化をつけながら勝利をたぐり寄せた。

31日までの1次リーグでは世界選手権3位のオーストラリア60-77で敗れ、同4位のイランには63-57で快勝。2勝1敗で両チームと並んだが、得失点差で決勝進出を逃した。来年の東京パラリンピックでメダルを取るために、昨年に続く優勝を期していただけにメンタル面の揺れもあった。藤本は「心と体の準備はできていたが、集中力が欠けていて決定力がなかった」と打ち明けた。

ただ、世界トップクラスとの戦いで16年リオデジャネイロ以降につくり上げてきた激しい守備からの速攻、トランジションバスケットが機能したのは収穫だ。オーストラリア戦では相手の高さとプレッシャーにシュートミスが目立ったが、チームの特長をコートで表現。イラン戦では徹底したプレスディフェンスで失点を防ぎ、攻撃も機能して昨年のアジアパラ決勝の雪辱を果たした。

「チームのコンセプトには手応えを感じた。いい試合を続けて、きっちり勝ちきることが必要になる」と藤本のコメントにも力がこもる。及川監督は「優勝したイランに勝てて自身になったが、ここが最低レベル。ここから落ちたら(東京で)メダルラウンドには進めない。世界と戦う勇気と覚悟が持てたし、明日からまた個、チームともに地力を上げていく」。日本が東京のメダルへ確実にステップを上がった。