パラ陸上やり投げは山崎晃裕V、東京パラ出場圏内に

男子やり投げ(上肢障害F46) 60 メートル 09で優勝した山崎晃裕(代表撮影)

<パラ陸上:日本選手権>◇第1日◇5日◇埼玉・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

男子やり投げ(上肢障がいF46)は山崎晃裕(24=順大職員)が60メートル09で制し、東京パラ出場を争う世界ランキングで7位から圏内の5位に浮上した。

ライバルの高橋峻也(22=日本福祉大)に4投目でトップに立たれたが、5投目に逆転。そして、最終6投目のビッグスローで突き放す強さを見せた。

「昨年のドバイから悔しさだけの日々でした。やれることを精いっぱいやってきた。成果が出てホッとしています」

昨年11月のドバイ世界選手権で東京パラリンピック切符をつかむつもりが、まさかの7位。18年に60メートル65の日本記録をマークしているが、その後はやや精彩を欠いていた。

コロナ禍の中で自分に向き合った。埼玉・山村国際高時代は背番号1を背負ったこともある元球児。自粛期間中は原点を見詰め、初心に戻るためにキャッチボールや河原での石投げも練習に取り入れた。一方で筋力強化や助走スピード向上にも取り組み、見失っていた自分の投げを再確認。8月の順大競技会、千葉県選手権でセカンドベストを連発し、この日、2年ぶりの60メートル超えで復調を印象づけた。

鳥取・境高時代に甲子園出場の高橋も58メートル98の自己ベストで東京パラランキングで圏内の6位に上がった。ライバルの台頭も山崎の心に火をつける。身体障がい者野球の日本代表を経て16年にやり投げに転向以来、これで日本選手権5連覇の王者は言った。

「東京で金メダルを取るのが目標なので、1年の延期で強くなれる時間をもらえた。まだ、戦いは終わっていない。もっと上に行きたい」