“雪上のF1”エース狩野亮、金1号&連覇への追求

2月、ジャパンパラ大会で3位だった狩野

 平昌(ピョンチャン)パラリンピックは9日夜、開会式が行われ、開幕した。競技は今日10日から始まり、アルペンスキー男子座位滑降で14年ソチ大会滑降、スーパー大回転で2冠の狩野亮(31=マルハン)が日本選手団の金メダル1号を目指して登場する。開会式は欠席して本番に備えた。雪と氷の障がい者スポーツの祭典は過去最多の49カ国・地域から約570選手が参加し、18日まで行われる。

 2大会連続の金メダルを狙う「高速系のエース」狩野は4度目の大舞台を控え、責任感に満ちていた。「初戦の滑降が全て。日本チームのためにもメダルを持ち帰りたい。金メダリストという肩書も捨て、改めて世界一速いことを証明したい」と感情を高ぶらせた。

 小3の時、交通事故で脊髄を損傷し、下半身の自由を失った。小6の時に見た98年長野大会の映像に衝撃を受けた。女子滑走で金メダルに輝いた大日方邦子(現団長)が「雪上を『パン! パン!』と跳んでいるようだった」。パイオニアの滑りが競技を本格的に始める契機となった。

 06年トリノ大会から3大会でメダル4個を獲得。チェアスキーの改良と横隔膜を意識した肉体改造で、世界トップ選手となった。アルペンは回転、大回転の技術系と、滑降、スーパー大回転の高速系に大別され、「雪上のF1」とも呼ばれる滑降は常に転倒などの危険と隣り合わせ。標高差約650メートルのコースを最高時速130キロで一気に下る。難度が高かったソチ大会では途中棄権に終わった選手が多数いた。

 狩野も7日の会場練習では転倒し、防護ネットに衝突。左肩と頭を負傷するアクシデントに見舞われ「勝負の前に生きるか死ぬかという恐怖もある」。今季は欧州の寒波の影響で同種目のレースが次々と中止になった。2月のW杯最終戦(カナダ)でようやく開催されて2位になったが、実戦での準備不足は否めない。しかし、どんな状況であろうと「速さ」を追求することを美学とする。狩野は言う。「パラリンピックは感覚と気持ちの作り方が大切。極限の緊張感の中で山とコースと対話するイメージで滑る。自然と友達になれれば勝機はある」。過去最多の13個のメダルを獲得した平昌五輪に続けと、先陣を切る。【峯岸佑樹】

 ◆狩野亮(かのう・あきら)1986年(昭61)3月14日、北海道網走市生まれ。岩手大卒。小3の時に交通事故で脊髄損傷。06年トリノ大会から3大会連続出場。10年バンクーバー大会はスーパー大回転で金、滑降で銅。14年ソチ大会はスーパー大回転と滑降で金。趣味はドライブ。