【ボクシング】性別騒動ヘリフ「女性として生まれ、女性として育った」誹謗中傷に抗戦の金メダル

ボクシング女子66キロ級決勝、イマネ・ヘリフ対楊柳 判定勝ちで金メダルを決めたヘリフ(右)は楊柳の腕を挙げ笑顔で健闘をたたえ合う(撮影・垰建太)

<パリオリンピック(五輪):ボクシング>◇9日(日本時間10日)◇女子66キロ級◇決勝◇ローランギャロス

【パリ=木下淳】性別を巡る騒動に揺れたボクシング女子のイマネ・ヘリフ(25=アルジェリア)が金メダルを獲得した。66キロ級決勝で楊柳(32=中国)に5-0の判定勝ち。採点出ると敬礼ポーズで、コーチに肩車されてウイニングランした。完敗の選手からも笑顔で優勝をたたえられた。

21年東京五輪は準々決勝敗退で「8年間、私の夢だった」と喜び「私は女性として生まれ、女性として育った。疑いようのない事実だ。攻撃を受けたからこそ今回の成功は特別なものになった」と自負を込めた。

全仏テニス会場ローランギャロスの特設リング。緑と白の国旗を掲げた観客で超満員の中、昨年の世界女王に完勝した。ともに178センチの長身だが、技術も迫力も段違い。3回いずれも審判5人全員が10-9をつける優勢で頂点に立った。

昨年の世界選手権で国際ボクシング協会(IBA)から「性が詳細不明」として失格にされ、今大会2回戦では相手のカリニ(イタリア)が開始46秒で棄権。「命を守らなければ」と訴えたことで騒動に発展し、IBAクレムレフ会長もテストステロン値の高さを再提示して「男性」と乗っかった。国際オリンピック委員会(IOC)バッハ会長が「パスポートは女性」と反論したが、誹謗(ひぼう)中傷にされされていた。

会見でヘリフは「SNSの攻撃はひどさを極めた。いじめはやめて。将来の五輪で同じことが起きないことを願う」と終止符を打った。IBAにも言及。「彼らは私を憎んでいるようだけど、金メダルがメッセージ。アルジェリアの女性は強さ、勇敢さで知られている」と痛快に言い放った。

 

▽ヘリフ性別問題

▼失格 21年東京五輪にも出場した選手だが、昨年の世界選手権で性別適格性検査をクリアできず。男性のXY性染色体を持つ選手の女子競技出場を禁じるIBAの規定違反とされた。ただ、IBAは統括団体の地位を剥奪されており、パリ五輪はIOCが競技を統括しているため出場可に。

▼問題化 今大会2回戦で相手のカリニ(イタリア)が圧倒的な力の差を感じたのか開始46秒で棄権。「鼻に強い痛みを感じ、自分の命も守らなければならなかった」などと発言した。

▼会見 準決勝前日の5日にIBAクレムレフ会長(ロシア)が会見。ヘリフと林(台湾)のテストステロン値が高いとして「男性」認定。IOCは「女性として生まれ育っている」。米トランプ前大統領らも巻き込む騒動となっていた。