<パリで金 やっパリ金>
五輪5大会連続メダリストで、日刊スポーツ特別コメンテーターを務める谷亮子さん(48)がパリ五輪を振り返った。
史上初めて選手数が男女同数となりジェンダー平等を掲げた大会。その象徴として過去最多20種目に増えた混合種目に焦点を当てた。アーティスティックスイミングのチームで男子が2人までエントリー可能になったことなどにも注目。今後に向けた変化を感じられた大会と総括した。
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17日間の熱い戦いが幕を閉じました。史上初めて選手の数が男女同数となったパリ大会で注目していた種目があります。男女混合種目です。前回の2021年東京大会から2つ増え、過去最多20種目で実施。ジェンダー平等を掲げる今大会の象徴のように感じていましたが、その内容も見応えあるものでした。
まずはバドミントンの混合ダブルス。バドミントンの混合はテニス同様に長い歴史がある。五輪の採用こそ1996年アトランタ大会からですが、100年以上前からあった種目。パリ大会では「ワタガシペア」こと渡辺勇大選手と東野有紗選手が東京大会に続き、銅メダルを獲得しました。
もともと渡辺選手はダブルスと兼任でしたが、東京大会後は混合ダブルスに専念。マイナーとも見られがちだった混合種目の価値を上げようと思っていたそうです。2人の新たな歴史を切り開く活躍で、子どもたちの選択肢を増やす役割も果たしたと思います。試合後の2人の涙を見ると、男女の力を合わせて戦う、混合種目の醍醐味が感じられました。
今大会から採用されたセーリングの混合470級でも岡田奎樹選手、吉岡美帆選手組が銀メダル。吉岡選手は東京大会後に引退を考えていましたが、パリで混合種目が実施されることもあり再起を決意したそうです。アスリートの新たな可能性を引き出すことも、混合種目の意義と感じました。
前回東京大会から始まった柔道の混合団体も盛り上がりました。自分自身は柔道を始めた小学生のころから、団体戦は男女混合戦で男子選手と直接対戦をしてきた思い出があります。ただ日本代表入りしてからは男女に分かれて戦う団体戦のみでした。男女が同じ試合で一喜一憂する。チームジャパンが結束して戦う姿に、個人競技とはまた違った柔道の魅力を発信できたように感じます。
ジェンダー平等の動きは混合種目の増加だけではありません。今大会で出場はかないませんでしたが、アーティスティックスイミング(AS)のチームには男子選手が2人までエントリー可能になりました。世界選手権では男女で組む混合デュエットが2015年から始まっていますが、近い将来、五輪のASにも男子選手が出場することが期待されます。
五輪の陸上最終日は男子マラソンの開催が1972年ミュンヘン大会から恒例でしたが、今回は男女が入れ替わって女子マラソンが最後を締めました。選手村には、わたしも長年希望していた育児室も設置されました。今後に向けて確実に変化の感じられる五輪になったと思います。
2年前に出産して復帰した柔道女子63キロ級のアグベニェヌ選手は銅メダルを獲得。大会前にお会いする機会があり、出産後の体調の変化などを聞かれ、自分の経験を伝えました。結婚、出産しても現役を続けられる環境をさらに充実させる。まだまだ少ない女性の指導者も増やしていく。そのためにスポーツを通じたあらゆる活動に積極的に参加し、サポートできることはしていきたいと思っています。たくさんの輝きをもたらした2024年、パリの夏は忘れられない日々になりました。Continuer vers Los Angeles(ロス五輪へ続く)!(日刊スポーツ特別コメンテーター・谷亮子)