【柔道】出口クリスタ、カナダ柔道界初の金メダル「カナダ国籍選択を後悔したことは1度もない」

女子57キロ級決勝戦 メダルを手に写真に納まる、左から銅のサラレオニー・シシケ、舟久保、金の出口、銀の許(2024年7月29日撮影)

<パリオリンピック(五輪):柔道>◇29日◇女子57キロ級決勝◇シャンドマルス・アリーナ

【パリ=木下淳】女子57キロ級の金銀銅メダルを“日本”勢が獲得した。

長野県出身でカナダの出口クリスタ(28=日本生命)が金、東京都生まれで韓国の許海実(21=早大)が銀、舟久保遥香(25=三井住友海上)が銅。発祥国の強さ、多様化が結果に表れた。舟久保3位で、日本柔道の通算メダル数が100個の大台に乗った。男子71キロ級で3位の橋本壮市(32=パーク24)は、この競技で谷亮子を上回る最年長メダルを32歳11カ月6日でつかんだ。

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出口は楽しんだ。世界ランク1、2位によるカナダの代表選考会は「負けたら終わり」の重圧が極まったが、初の五輪は「純粋に柔道が、力試しができた」。決勝は延長2分35秒、許から3度の指導を奪って勝ち切った。5月の世界選手権では決勝で敗れたが、本来の貫禄を示し、カナダ柔道界に初の金をもたらした。

テレビ出演などで知名度も高い出口は、今も山梨が拠点。日本人の母の故郷長野で生まれ育ち、松商学園高-山梨学院大で鍛えた。17年に父の母国カナダ国籍を選択。東京五輪の代表選考で独走していたが、最終盤にクリムカイトとの世界女王同士の争いで落選し、日本での夢舞台に立てなかった。「やめるか迷った。けど続けて良かった」。念願の金メダルに「物質的にも重いけど、重圧を考えたら、心に来る重さも感じる」と美しい言葉を残した。

裏切り行為と思われないか葛藤しつつ「もう1つのルーツを活用しないのもおかしな話」と19、23年の世界選手権を制すまでに成長した。東京五輪のための選択が実らなかった失意を乗り越え、表彰台の最も高いところに立ってみせ、言い切った。「カナダ国籍の選択を後悔したことは1度もない」。決断が報われた。