【柔道】フランス代表クラリス、谷亮子さん以来2人目のママで銅「娘の首にメダルをかけたい」

銅メダルを手に笑顔のフランス代表クラリス・アグベニェヌ(ロイター)

<パリオリンピック(五輪):柔道>◇30日◇女子63キロ級準決勝、3位決定戦◇シャンドマルス・アリーナ

【パリ=木下淳】女子63キロ級の31歳、東京五輪女王クラリス・アグベニェヌ(フランス)の「ママでも金」はならなかった。26日の開会式で聖火リレー走者を任され、狙った地元での五輪2連覇。夢は準決勝で霧散し「クラリス」一色だった会場が静まりかえった。

昨年の世界選手権決勝で退けたレシキ(スロベニア)との準決勝は、技をかける回数が少なく残り15秒で力尽く。小内刈りで技ありを奪われ、頭を抱えた。3位決定戦を制して銅メダルを獲得しても「まだ傷ついている」と感情的だった。

22年6月に長女アテナちゃんを出産。幸せだが、競技復帰は難航した。選手村に初の託児所が設置されたほどの影響力がある一方、授乳しながらの練習は力が入らない。体重も、筋力は落ちたのに15キロも増えた。

それでも昨年5月の世界選手権は優勝した。今年3月、自身と同じ夢を08年北京五輪で追った谷亮子さんと対面し、激励された。その際、取材に「出産前と出産後の自分を比較しないこと。前と同じくらい体力があるとか、前と同じくらい強いとか思っても、体は変化してしまう。違う女性になった認識を持つことが大切」と心得を語っていた。

望んだ栄光は得られなかったが、闘い終えると、現地観戦した愛娘を大観衆の前で抱いた。「妊娠の後、こうやって戻ってこられるとは…信じられなかった。娘の首にメダルをかけたい」。田村さん以来2人目の「ママで銅」。挑戦を終えて再び母親の顔に戻った。