<パリオリンピック(五輪):卓球>◇8日(日本時間9日)◇女子準決勝◇パリ南アリーナ
【パリ8日(日本時間9日)=松本航】世界ランク2位の日本が、4大会連続メダルを決めた。
準決勝で同5位ドイツに3-1で勝利。シングルス世界ランク8位の張本美和(16=木下グループ)は第2試合を落としながら、第4試合で立て直して涙を流した。左手首から腕にかけて痛みを抱える早田ひな(日本生命)を1試合のみの温存に成功。平野美宇(木下グループ)は3戦連続で2勝を挙げる活躍をみせた。10日の決勝で4連覇中の同1位中国に挑む。
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中国への挑戦権獲得は、いばらの道だった。高校1年生の張本美は涙をぬぐい、勝ち取った権利をかみしめた。
「最初から目指すは金メダル。もちろん取りたいですが、考えすぎず、思い切って自分のプレーができれば結果がついてくる。向かっていく気持ちは変わらず、自分に集中したい」
1度は後ろ向きになった夜だった。第1試合を早田、平野組のダブルスで制し、シングルス世界ランク100位のカウフマンと戦った第2試合。逆横回転をかけるYGサーブの使い手に大苦戦した。自身のサーブミスも重なり0-3。五輪で初めて負けた。「切り替えられないぐらい、気持ち的には落ちていた」。渡辺武弘監督も「予想外の0-3。やっぱりオリンピックは、そう簡単にいかない」と暗雲が垂れ込めた。
「思い切って!」
第3試合を平野が制し、2勝1敗で迎えた第4試合。早田と平野から短い言葉をかけられた。世界40位の41歳シャオナに対し、第1ゲーム(G)は2-7から11-8と逆転した。心の中で繰り返したのは「思い切って!」の言葉。ラリーで打ち負けず、第3Gは11-0のラブゲームで圧倒した。その状況も「1球1球を考えていて、10-0になってから知った」と夢中だった。マッチポイントから一気に決めるとほほ笑み、直後に安堵(あんど)で涙を流した。
前日7日は男子が準決勝でスウェーデンに敗れた。兄智和は激闘の末に最終第5試合を落とし、突っ伏して泣き崩れた。自身の試合の準備を優先したため「試合が終わってすぐに寝た。お兄ちゃんも悔しかったと思うし、あまり話していないです」。中国と戦う前に敗れた兄の無念も胸に、いよいよ最後の戦いに臨む。
エース早田が万全ではない中で懸かる期待は大きい。
「私と平野選手がやることは変わらない。全力でプレーする。3人で力を合わせて決勝頑張りたいです」
1度失い、自ら取り戻した自信がある。最強軍団に立ち向かう準備はできた。
◆難敵の中国女子 今年2月の世界選手権団体戦(釜山)では、決勝で粘る日本を振り切って3-2で6連覇。パリ五輪では混合ダブルスでシングルス世界ランク1位の孫穎莎が金メダル。シングルスは決勝で孫穎莎との中国勢対決を制した同2位の陳夢が2連覇を飾った。この2人に同3位の王曼■(■は日の下に立)を加えた団体も盤石の戦いでエジプト、台湾、韓国を全てストレートで下し、決勝に駒を進めている。
○…早田がダブルスで貢献した。平野と3試合連続で第1試合に臨み、4-1で先勝。個人シングルスの銅に続き、今大会2個目のメダルを確定させたが「ここが終わりじゃない。最後まで諦めずに120%の力が出せるように頑張りたい」と金メダルを目指す。ダブルスのみの出場で、渡辺監督は「早田選手と平野選手は張本選手の“お姉さん”。先輩2人からいい流れを持っていく。いい形で温存できながら決勝まで上がれた」と決戦を見据えた。
○…平野が3試合連続の1試合2勝で、打倒中国へ弾みをつけた。第1試合を“ひなみう”で制し、第3試合のシングルスは世界96位のユアン・ワンを3-0で下した。決勝へ「ここからが本番という気持ち」ときっぱり。渡辺監督からも「前回の東京(五輪)の経験が生きている。うまく調整していて、本当に強い。決勝も期待している」と称賛された。