パリ五輪で目標のメダルに届かなかったバレーボール男女日本代表。それぞれに足りないものは何だったのか。Vリーグ・サントリーの監督を務めた山村宏太氏(43)が、今大会の決勝戦をもとに解析した。前編は女子代表編。イタリア-米国の戦いから、28年ロサンゼルス大会での飛躍への道筋をひもといた。
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金メダルを獲得したイタリアは、圧倒的な攻撃力を備えていた。絶対エースのOPエゴヌだけではなく、両OHの決定力に加え、パスが乱れてもラリー中にMBの速攻を使うことができていた。近年、女子もパイプ(MBの速攻をおとりとしたバックアタック)を使用するなど、男子のような戦い方がトレンドになりつつある。イタリアは決勝ではパイプこそ使わなかったが、これまで日本をはじめとした女子の主流だった、セッターの後ろにMBが回り込むランニング攻撃は0。OPが後衛の時でも、男子のようにAクイックやBクイックで真っ向勝負を仕掛けていた。ここに、日本や他国との差がある。
そもそもなぜセッターの背後からの攻撃を使うのかというと、後衛のOPに得点が期待できないからだ。OPのバックアタックの代わりに、MBをライト側に走らせてレフトとの距離をつくり、相手ブロッカーを分散させることがこの攻撃の目的。一方で、MBが移動することで中央が空き、センターからの攻撃選択肢がなくなってしまうので、相手からすると守りを絞りやすい側面がある。この点、イタリアはOPが後衛にいても、パイプもクイックもレフト、ライトの両サイドからの攻撃もある状態。東京五輪覇者の米国でも、3枚のブロックでは対応しきることができなかった。
日本はここ数年、守り勝つ戦い方に重きを置いており、守備のうまいOH林選手をセッター対角に置いて5人全員でサーブレシーブに入ってきた。ただ、今後は世界中の国がライトからのバックアタックを打てるOPの育成に力をいれてくるだろう。その波に乗り遅れてしまうと、強豪との差は開いていくばかりだ。
当然、攻撃専門のOPだけでなく、OHやMB個々のスパイク力向上も求められる。海外にチャレンジするなどして個の力を高めていくと同時に、長期的な視点で「打てる選手」を育てていくことができるか。ロス五輪、さらに今後の世界との戦いでカギを握ることは間違いない。
◆パリ五輪女子決勝VTR イタリアが第1セット(S)の序盤に6連続得点で先行すると、その後も得点を重ね25-18で先取。第2Sは要所でMBの速攻が機能し、25-20で連取した。第3Sは6-6の場面でセッター・オッロのエースを皮切りに、エゴヌのアタックなど7連続得点で主導権を奪取。そのまま25-17で金メダルに輝いた。