【パリ=阿部健吾】女子62キロ級の元木咲良(22=育英大助手)が初出場で銀メダル以上を確定させた。準決勝でグレースジェーコブ・ブレン(ノルウェー)を破った。決勝ではイリーナ・コリアデンコ(ウクライナ)と対戦する。

第2ピリオド終盤まで2-7とリードされた展開だったが、反り投げから抑え込み。相手をマットに沈め、大逆転のフォール勝ちを収めた。敗れたブレンは信じられないという表情でぼうぜんとした。

「優勝するために、世界一になるために来たのに、ここで負けたらどうしようって。強引に取りに行っても、全部跳ね返されてしまって。どうしようって、本当に怖くて。神様が助けてくれたのかなって思います」と涙を流しながら喜んだ。

24年前に父が経験した五輪マットだった。00年シドニー五輪男子グレコローマンスタイル代表の父、康年さんと親子2代出場を果たした。「食らいついていく。何とかして金メダルを取りたい」と気合を入れて闘い、準決勝に進んだ。

1回戦は38秒でフォール勝ち。準々決勝は1-0で迎えた第2ピリオドにペースを上げた。タックルで倒して強烈なアンクルホールドを連続で決め、テクニカルスペリオリティーで完勝した。

高校まで柔道選手だった父は20歳でレスリングを始め、30歳で五輪に出場した。3歳で競技を始めた元木はジュニア時代は目立つ成績を残せなかった。父と同じくこつこつ努力を重ね、東京五輪後に頭角を現した。「一番は不器用なとことかが似てますね。もうちょっと、せっかくなら器用にしてほしかった(笑い)」と言うが、「お父さんより早く始めた分、成長できると思う。喜ばせたい」とも誓う。父が届かなかったメダルはつかんだ。あとは一番良い色にするだけだ。