ロンドン銀三宅諒「金がない」ウーバーイーツ配達員

12年8月5日、ロンドン五輪で銀メダルを獲得した男子フルーレ団体。左から淡路、太田、三宅、千田

フェンシング男子フルーレの12年ロンドン・オリンピック(五輪)団体銀メダリスト三宅諒(29=フェンシングステージ)が29日、出前のアルバイトを始めると報告した。かねて就業を示唆していた、オンラインフードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」の配達員になる。

投稿サイト「note」に同サービスの象徴的な配達バッグ写真を掲載し「皆さんも一度は見かけたことがあるであろうこのバッグ。明日からアルバイトを始めることにしたんです」と伝えた。

オリンピアン、しかも日本フェンシング界で過去最高タイの銀メダルに輝いた男が異例の取り組みだ。「アルバイトを始める1番の理由は他でもなく、お金がないからなんです」と切実につづったのは、目指す東京オリンピック(五輪)の延期によって個人スポンサー契約が満了するなど、厳しい財政事情があるからという。

「僕は企業に所属することなくアスリートとして活動しているため、企業からのスポンサードを募り活動をする必要があります。今回はこの“スポンサーを受ける”ということを、この新型コロナウイルス拡大化により様々な職種や人々の生活に大きな制限がかけられている今だからこそ、しっかりと考えてみようかなと。その結果、このような決断(実際のところそんな大したことではないw)をすることにしたのです」

3月下旬には、ツイッターに日本フェンシング協会から届いた請求書の写真を載せていた。日本代表の強化活動費として2月までのイタリア、フランス、エジプト遠征で掛かった総額が前払い金を含め67万円を超え、自己負担であることを明かすとともに「これは高い」「しばらく払い続けてるけど、これは気合入れないと続けられないな」「#自己負担」「#突かれる心」と率直な思いをつぶやいていた。

今回は「お金がない→スポーツができない」から「スポーツがしたい→お金がない」にパラダイムシフトさせる(従来の考え方や価値観を180度、変える)ことを目指し、noteにアスリートとスポンサーの関係について持論を展開。東京五輪の来年7月23日開幕への延期を「正直どうなるかわからない」「このような状況でスポンサードを募るのは『よくわからないけど約1年後にオリンピックがあるらしいんでそれに向け頑張っています!』と声高らかに宣言しているようにしか思えないのです。今までアスリートが恋い焦がれ目指し続けていた“結果”は不確実な虚像へと変わってしまいました」と指摘した。

「これらのことから、無責任にスポンサーを得ることは企業にとって良くないことどころか自分自身にとっても、途方もないプレッシャーを自分に掛けてしまうことになるのです」

「途中経過を示せもしないのに7月に向けての半か丁かの大博打をお互いに強いることになるのはなかなか度胸が必要ですよね。笑」

選手は結果を、企業はイメージを求めていると関係性をとらえて「ここで僕はアスリート視点から追い求めてきた“結果”にとらわれてしまうことをやめて、企業側が求める“イメージ”について考えることができれば目的を達成できるのではないだろうか。と考えて、Uber Eatsの配送デリバリーを始めるに至るのです。(うん、我ながら急展開w)」と最後に報告した。

ここまでがnoteの前編。今後アップ予定の後編でUber Eats配達員の「初日」を報告するとしている。