東京五輪の聖火リレーが9日、開催都市東京に入り、1964年東京五輪の日本選手団主将を務めた小野喬さん(89)がトーチを掲げた。公道でのリレーを自粛し、無観客で行われた町田市の会場内で火をつないだ。
「鬼に金棒、小野に鉄棒」のフレーズで知られた日本体操界の伝説的選手。4回目の出場となった64年大会でも団体総合の金メダルに貢献するなど、「体操ニッポン」の体現者だった。
57年の時を経て、今度は聖火ランナーに。「体調面の調整をしてきて、無事に済んで良かったです」とほっとした表情。体調不良もあったが、この日に向けてリハビリに励んできたという。「いろんなことを思い出しましたね」。公道を走ることはなかったが、トーチを高く掲げて笑顔をみせた。
2月には同じく体操で64年大会代表、団体の銅メダリストだった妻清子さんがこの世を去った。「(リレーを)楽しみにしていた。見せてあげたかったね」と思いやった。コロナ禍で世論の厳しい声の中で迎えるが、「選手は精いっぱい力を出し切り、最後までしっかり試合に臨んでほしい」と願った。
◆小野喬(おの・たかし)1931年(昭6)7月26日、秋田・能代市生まれ。東京教育大(現筑波大)、慶大、東レと進む。五輪は初出場の52年ヘルシンキ大会の跳馬で銅。56年メルボルン大会では鉄棒で日本体操界初の金メダルに輝き、あん馬、個人総合、団体総合で銀、平行棒で銅。60年ローマ大会では鉄棒、跳馬、団体総合で金、個人総合で銀、つり輪、平行棒で銅。64年の団体金も含め、4大会連続メダル獲得は日本人男子で唯一。
◆9日の聖火リレー 聖火は最終の東京都に入り、23日までの15日間をつなぐ。公道開催は中止。1日目は町田シバヒロで点火セレモニーを行い、日本人最多13個のメダルを獲得した体操の小野喬氏や、04年アテネ五輪団体総合金メダルに貢献の米田功氏、バドミントンの12年ロンドン五輪「フジカキ」ペアでダブルス銀の藤井瑞希氏らが登場。青山学院大陸上部の原晋監督もトーチキスを行った。今日10日は八王子市内でセレモニーを実施し、柔道の92年バルセロナ五輪金メダル吉田秀彦氏らが参加する。