今日29日に霞ケ関CCで男子から始まるゴルフで、日本男子初のメジャー王者となった松山英樹(29=LEXUS)がオリンピック(五輪)に初登場する。4月のマスターズ優勝後も主戦場の米ツアーを転戦し、五輪が凱旋(がいせん)試合となる。熱心なゴルフファンでなくとも、一目は見たい世界レベルのプレー。松山はメダルを取れそう? どんな選手が出るの? そんな疑問に答えます。

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空前の金メダルラッシュに、各競技の日本代表への注目度、期待度は日に日に高まっている。そんな中、現役マスターズ王者、松山が満を持して五輪初登場。27日の会見では「メジャーと違って、その国のトップしか出てこないので、難しいと言えば難しいが、メジャーだと150人の中でトップを争うのと(五輪は)60人で争うのでは確率も変わってくると思う。しっかりと金メダル目指して頑張りたい」と力強く話した。

実はこの言葉が、松山の金メダルの可能性が高いことを端的に表している。五輪は直近の成績を重視した世界ランキングに基づき、1カ国最大でも4人までしか出場できない。25日付最新ランキングで、トップ10のうち実に8人が米国人。今、最も強い10人のうち、4人は無条件で出場できない。さらに米国はツアー24勝のダスティン・ジョンソンが出場辞退。屈指の飛ばし屋デシャンボーは、新型コロナウイルスの陽性反応を示し、来日直前に欠場が決まった。代役は世界12位のリードとなった。同1位ラーム(スペイン)も陽性反応で直前に欠場。トップ10のうち出場は3人だけとなった。

松山は世界20位ながら、五輪出場者では7番目となった。世界ランキング100位未満の出場者が過半数の32人。4大大会のメジャーと比べると、ライバルは激減する。松山も新型コロナウイルスの陽性反応を示し、今月行われたメジャーの全英オープンを欠場。実戦は約1カ月ぶりと、ぶっつけ本番だが「すごく楽しみ」と、地の利もあり、心身の充実ぶりは顕著だ。

16年の前回リオ大会でゴルフが五輪に復活した。実に112年ぶり。そのリオ五輪はジカ熱や過密日程を懸念し、松山を含めて辞退者が続出した。だが19年からメジャーの全米プロ選手権は、例年の8月から5月に開催がずれ、トップ選手が五輪を目指せる環境が整備された。賞金ではなく、国を代表して戦うことを名誉に感じる選手は増えた。

出場選手数こそ60人と少ないが、松山をはじめ世界のトップが本気で勝ちに来るのはメジャーと変わらない。ただ、メジャーよりもライバルの絶対数が少ない分、頂点も近い五輪。現役マスターズ王者の松山が金メダルを取れば、ゴルフ界の五輪の価値が上がるのは間違いない。【高田文太】

◆東京五輪のゴルフ 会場は埼玉県川越市の霞ケ関CC。男子は29日~8月1日、女子は8月4~7日。6月20日付の世界ランキングに基づく、五輪ランキングで60人が出場。各国上位2人に出場権が与えられ、同ランキング15位以内に3人以上いる国は、最大4人まで出場。予選落ちはない。日本からは男子は松山と星野が出場。