「床のスペシャリスト」仙台大・南が自主トレ公開

丁寧に1つ1つの練習を行う仙台大・南(撮影・山田愛斗)

「床運動のスペシャリスト」が東京五輪に向けて再始動した。仙台大体操競技部の南一輝(3年)が15日、同大体育館で自主トレーニングを公開。新型コロナウイルスの影響で、4月から地元の山口・下関市に帰省していたが、10日に約2カ月ぶりに床での練習を再開し、この日は「体力面が落ちてるので本番みたいな通しではなく、1本1本単発で技を確認しながら丁寧に臨んだ」と語った。

オリンピック(五輪)へいばらの道を進む。昨年11月に種目別ワールドカップ(W杯)コトブス(ドイツ)大会で初優勝。今年2月のメルボルン(オーストラリア)、同3月のバクー(アゼルバイジャン)とドーハ(カタール)のW杯3大会中2勝で五輪出場が当確だった。しかし、両親が訪れたメルボルン大会は試合2日前の練習で、左足首を痛め無念の欠場。バクー大会はコロナ禍で、決勝進出直後に中止が決定した。状況が一変し、今後の選考方法や大会日程は不透明。五輪切符獲得へは勝ち続けるしかない。

五輪延期は下関の実家で知った。それでも体幹に重点を置き調整し「自分は感覚で体操をやってきた」とイメトレも欠かさず。食事量を減らし、ベスト体重の59~60キロをキープ。「これまで2年間、東京五輪へずっと練習してきた。気持ちを切らさず、磨ける時間が増えたので、優勝を狙い頑張りたい」と力を込める。

次戦は未定も「試合があるとしたら12月だと思う。ケガする前よりいい演技ができるように、今から技を磨き完璧に仕上げたい」。左足は「80%ぐらい」まで回復。W杯コトブス大会時のベストの自分を取り戻していく。

鈴木良太監督(41)は「またこの緊張感を1年保つのかというプレッシャー、足の状態もあり、南にとってプラスなのかマイナスなのか今後の選考方法次第になる。いい方向に転がってくれれば」。夢舞台へ道なき道を進む。【山田愛斗】