全日本柔道連盟は27日、東京・講道館で強化委員会を開き、男子73キロ級で16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)金メダルの大野将平(28=旭化成)が2大会連続の五輪代表に決定した。

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全階級の中で、唯一2連覇の資格がある。男子73キロ級でリオデジャネイロ五輪王者の大野将は「周りが思っている以上に2連覇は難しいと思っている。ですが、自国開催で2連覇を目指せるのはこれ以上ないモチベーション。覚悟をもって準備するだけです」とよどみなく言い切った。

斉藤仁、野村忠宏、内柴正人に続く日本男子史上4人目の2連覇。ただ、道は同じでないとにらむ。「誰かのまねをできるようなレベルの話ではない。こればかりは自分の道を歩んでいくしかない。見えないものを手探りで集めていく作業。真っ暗なところを、一筋の光を見つけるために歩んでいる」。世界の層が最も厚いと自負する73キロ級、そして母国五輪。未踏の道は優しくない。同時に、「超攻撃的に」「恐れていたら戦えない。覚悟を持って恐れずに挑戦していきたい」と気概が宿る。

いまや、世界に広がる「JUDO」の日本顔だ。道着を2本の手でしっかり握り、投げ切る。他格闘技の技術の流用著しい現代の畳の上でも、王道で柔道の魅力を体現する。競技人口が増える先週のドイツでの国際大会でも、「自分の柔道を見ている」と実感したという。「日本でも柔道の良さを伝わるように尽力したい」と目線は高きを望む。

4年前のリオ五輪は5試合中4試合で一本勝ち。今度は全試合で…、と周囲は望むが「色気とか欲とかは一切殺して戦いたい」と沈着。それでも、見る側は美しく、豪快な投げ技を期待してしまう。【阿部健吾】