柔道の出口クリスタ「女も感じたい」メークも研究中

出口クリスタ

柔道の19年世界選手権女子57キロ級覇者の出口クリスタ(24=日本生命)は、東京オリンピック(五輪)へぶれない姿勢を貫く。母校の山梨学院大がある甲府市を拠点とし、己と向き合う日々を過ごす。父の母国のカナダ代表として目指す夢舞台の1年延期をプラスに捉え、虎視眈々(たんたん)と同国初の金メダルを狙う。【聞き手=峯岸佑樹】

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24歳の世界女王は、一時は戸惑いを覚えたが、東京五輪が1年延期となり安堵(あんど)した。3月下旬、カナダオリンピック委員会が新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、通常開催の場合は選手団を派遣しない方針を表明した。

出口 五輪に出られないかもと思って動揺しました。人生最大のヤマ場で、通常開催も中止も困ると考える中、延期が決まってホッとしました。1年あれば、新たな技の習得など足りない部分を補える。さらに強くなるチャンスをもらったとプラスに考えました。

-現在はどんな練習を

出口 大学は4月から活動自粛のため、今は自宅で「家具トレ」を1日2時間続けています。器具がないので、2リットルのペットボトルやソファを使って体幹などを鍛えています。縄跳びや山道を走る日もあります。人が少ない山梨で、さらに人を避けた孤立生活です。自分と向き合う時間とも考え、(愛猫の)ツナとマヨが唯一の話し相手でメンタルケアをしてもらっています。

-ストレスは

出口 ストレスかどうか分かりませんが、柔道ロスです。道着を1カ月以上着てなく、ここまで柔道から離れた経験もないため柔道を早くしたい。体がうずうずして、1週間が長く感じます。

-柔道以外で挑戦していることは

出口 YouTubeでメークを研究しています。化粧は女性のマナーだし、引退後にメークできないと恥ずかしい…。あと、24歳にもなって柔道の汗臭いままでなく、ちょっと女も感じたいです(笑い)。メークは奥深く、印象もガラリと変わる。不器用なので、日々勉強しています。

-代表の活動状況は

出口 カナダはロックダウン(都市封鎖)が続いていて活動再開は不透明。6月のクリムカイト(世界ランク2位)との国内代表決定戦も延期(日程未定)になりました。この状況だと、国際大会の年内再開は厳しいかもしれないし、五輪の中止や再延期も視野に入れています。ダメなら24年。3年なら頑張れます。

-東京五輪への思い

出口 目指しているものや、やることは変わりません。金メダルしかない。昨年から同じ階級の妹のケリー(21)も本格的にカナダ代表として国際大会に出場し、時には付き人も務めてくれます。姉として、五輪で先に結果を出すという強い思いもあります。

◆出口クリスタ(でぐち・くりすた)1995年(平7)10月29日、長野・塩尻市生まれ。3歳で柔道を始める。松商学園高-山梨学院大-日本生命。17年にカナダ国籍を取得。18年グランドスラム・パリ大会から3連覇。18年世界選手権銅、19年同選手権金メダル。右組み。世界ランク1位。得意技は大外刈り。趣味は動物遊び。愛読書はグラップラー刃牙。161センチ。