<東京オリンピック(五輪):空手>◇5日◇女子形決勝◇日本武道館
0・18点差に泣いた。世界ランク2位清水希容(27=ミキハウル)は銀メダルに悔し涙を流した。最大のライバルとなる同1位サンドラ・サンチェス(39=スペイン)との決勝。得意のチャタンヤラクーサンクーの演武で臨んだものの、27・88点にとどまり、28・06をマークしたサンチェスに競り負けた。清水は「ここまでくるのにすごく…すごくしんどかった。ここで勝ちたかったですけれど、悔しいです」と流れる涙をぬぐった。
準決勝後、約8時間の休憩を挟んだ決勝。サンチェスの演武に背を向け、1人自らの世界に入って自らの出番まで集中力を研ぎ澄ませた。その指先まで神経の行き届いた演武には、キレもスピードもあった。体はぶれず、呼吸の乱れもほぼなかったものの、清水は「予選よりもリズムだったり、練習していたところがちょっと…。自信を持っていなかったわけではないですが、少し焦ってしまったというか。予選よりも足場が浮ついていたところがあるかなという風に思ったので、予選みたいに気持ちが出せたたら良かったかなっていう気持ちがあります。本当に申し訳ない気持ち」と振り返った。
頂点には手が届かなかったが、苦しい時期を乗り越え、銀メダルをつかみ取った。ここ数年はサンチェスと、金か銀を分け合うことが大半だった。しかし昨年1月のプレミアリーグ・パリ大会では太もも裏を痛めたこともあり、2年ぶりに決勝進出を逃した。
ショックな敗戦は続いた。コロナ禍により久々の試合となった12月の全日本選手権では、決勝でまさかの敗北。8連覇を逃し、「このままでは勝てない。自分のなかで、『負けてしまうのでは』という思いが強くある。そこを払拭しないといけない」。東京五輪が迫る中で、強い危機感をにじませた。日本代表の古川哲也コーチは、「気持ちの面で攻められなかった。負けられないという思いが強すぎて、体が萎縮してしまっていた」と分析した。
状況を打破すべく訪れた先は沖縄だった。今年2月から4カ月ほど、形男子で無敗を続ける喜友名らとともに練習に励んだ。「当初はまだ全日本選手権で敗れたことの悔しさや迷いがあった」という。それでも王者の隣で汗を流し、気迫を前面に出す練習を重ねることで、邪念を振り切った。「私にとって非常にプラスになった。五輪を迎えるまでに、喜友名先輩と練習できたことは良かった」。再び自信を取り戻して臨んだ東京の晴れ舞台だった。
清水は「こんな経験はもうできないと思うので、貴重な経験をさせていただいたなと思います。武道の聖地である母国で優勝することが、5年間ずっと、その思いでやってきた。やっぱり悔しい気持ちはあるのですけれど、何よりここまで支えてきてくれた人達に感謝したいと思います」と口にしていた。