来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの準備状況を話し合う国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会が25日閉幕し、52項目の簡素化案が合意された。

IOC委員ら五輪ファミリーへのサービス削減や大会関係者の人数を当初から10~15%削減する。大会組織委員会の森喜朗会長(83)は簡素化と新型コロナウイルス対策を示すことで「東京大会を人類のレガシーとできるよう引き続き取り組みたい」と述べた。

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「東京モデル」と、調整委内で名称がつけられた簡素化計画を、IOCと組織委は自信を持って発表した。森会長は「都民、国民の共感が得られる大会を目指し取り組んできた」と話した。

以前から指摘されていたIOC委員ら五輪ファミリーの過剰な接遇にもメスを入れた。「期間中はパーティーばかり。毎晩同じような人が顔を合わせているが、思い切ってなくせば良いと思って切り込んだ」と森会長。その観点から大会前に行うIOC総会の開会式を取りやめる。当初は国立劇場(千代田区)を貸し切り、日本の文化を紹介する演目などが予定されていた。五輪、パラファミリーの飲食メニューやラウンジ装飾のサービスレベルも下げ、経費削減を図る。約5万人の五輪関係者の人数も10~15%削減する。

聖火リレーは現行案の121日間、1万人のランナーは維持するがリレー運営車両を削減し、各日の到着式の装飾などを見直す。選手団が到着した際の選手村の入村式は取りやめる。

開閉会式では一部関係者のバス輸送を地下鉄など公共交通に切り替える。国立競技場内の五輪、パラファミリーのラウンジにおける飲食メニューも削減する。肝となる演出内容は引き続き見直しを検討する。

海外メディアから「マイナーな変更という印象」と厳しい質問も飛んだが、組織委はコロナ前から既に経費削減に努めてきた経緯を説明し、理解を求めた。簡素化による削減額は来月7日のIOC理事会で報告できるよう集計を急ぐ方針だ。【三須一紀】