東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は30日、都内で会見を開き、新型コロナウイルスの影響で今後、観客数の削減などがあった場合は、払い戻しに応じる方針を明らかにした。

新型コロナ禍の先行きが見通せない中、観客数の削減に関し、組織委の鈴木秀紀マーケティング局次長が説明。「今後の新型コロナ対策調整会議で話し合われること」と具体的には踏み込めない立場を示した上で「新型コロナウイルス感染症の影響により、万が一、観戦の機会をご提供できなくなった場合には別途、払い戻しを実施させていただく予定です」と強調した。

観戦の機会について、同席した高谷正哲スポークスパーソンが「中止は一切、検討しておりません。無観客も検討しておりません」と断言。観客削減の有無に関しては「今お伝えできることは、状況に応じた、さまざまな対策は検討しているということ。コロナ禍の中で、何かあった場合には必ず払い戻しすることは、しっかりお伝えしておきたい」と力を込めた。

この日、発表されたチケット払い戻しは、来夏への大会延期に伴い観戦が困難になった人が対象。五輪の払い戻し申請手続き期間は「11月10日(火)未明~11月30日(月)午前11時59分」で、返金時期は「12月下旬以降」。パラは「12月1日(火)未明~12月21日(月)午前11時59分」で、同じく返金時期は「来年1月中旬以降」と決めた。

一方、チケット保有者が依然として不安定な立場にあり、かつ今回の払い戻し受付期間が短いため、難しい判断を迫る状況に配慮した形だ。鈴木氏は重ねて「万が一の事態が発生した場合には、払い戻しの手続きをさせていただきます。不安を感じずに、ご判断いただければ。一生に1度の機会として人生の財産となるよう、観戦を希望される方々には、引き続きチケットをお持ちいただきたい」と冷静な対応を求めた。

今回の払い戻しは理由を問わない。原則的に、延期に伴う来場困難者と希望者への払い戻しは今回限りとするが、来年には公式リセールを実施する方向で準備も進めている。【木下淳】