来夏に延期された東京五輪・パラリンピックにかかる新型コロナウイルス対策費が約1000億円と試算されていることが29日、複数の関係者への取材で分かった。同対策費以外の純粋な延期による追加経費は大会組織委員会により約2000億円と試算されており、合計は約3000億円となる見通し。国、東京都、組織委の3者は今後、この額をもとに費用負担の割合を協議し、12月中に決定する。

大会にかかるコロナ対策費は政府を中心に検討が進められている。具体的には選手村(中央区晴海)に設置する発熱外来や保健所の分室の設置費用や、関係者へのコロナ検査費用などが含まれる。アルコール消毒やアクリル板など基礎的な感染予防費もかかってくる。

昨年12月に発表した大会経費は1兆3500億円。組織委が6030億円、都が5970億円、国が1500億円という負担割合だった。大会関係者の中では今春の延期決定直後、延期に伴う追加経費は「3000億円程度になるのでは」との臆測があった。

組織委は大会開催へ広く理解を得るために大会の簡素化に努めた。会場の仮設設備の見直しや大会関係者の参加人数減による関連サービスの縮小、組織委人員計画の見直しなどで、約300億円の削減を10月に発表していた。

組織委は大会延期に伴い、スポンサー各社に契約延長を求めているが、コロナ禍においてスポンサー企業の中には、契約延長に懐疑的な意見もある。さらにコロナの影響で観客を減らさざるを得ない場合は、チケット収入も減る。組織委の収入が伸び悩んだ場合、都や国の負担割合が増える可能性もある。