森会長「我々は愚かではない」五輪延期の検討認める

IOC臨時理事会を受け、会見に臨む東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森会長(撮影・足立雅史)

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)と武藤敏郎事務総長(76)が23日、東京・晴海で会見した。

国際オリンピック委員会(IOC)が大会の延期を含めた検討に入ると発表したことを受け、森会長は「(通常開催に向けて)私どもは歩んで参りましたが、今日の状況を見ると、国際情勢は変化して、まだ予断を許さない。欧州や米国など異常な事態になっている地域もある。いろんな(延期や中止を求める)声があるのに『最初の通り、やるんだ』というほど我々は愚かではない」と延期の検討を認めた。

新型コロナウイルスの感染拡大について「大変ご心配をお掛けしている。各方面から、いろんなご意見をいただいていた中、昨晩、IOC(国際オリンピック委員会)バッハ会長、コーツ調整委員長らとテレビ会議を行った。こちらからは私と武藤事務総長が一緒に参加した。急に昨晩あの時間になった理由は、日本時間の午後10時からIOCの臨時理事会が開かれ、東京2020への対応を相談したいとのことだった。その前に我々も意見の一致を見ておく必要があったということ。結果、次のことで合意を見た」と説明した。

「中止は一切、議論しない。中止はあり得ない」

「日本とIOCの代表者が議論する。双方で考え方をまとめ上げていく。最初から延期、ではないが、延期の議論を避けるわけにはいかない。延長の議論をしないわけにはいかない」

「シナリオについて精査したい。約4週間で作り上げたい」

これを受けて「昨夜、東京都と国、小池知事と安倍総理、橋本大臣、萩生田大臣、遠藤会長代行、山下JOC(日本オリンピック委員会)会長に、それぞれ連絡した」という。

また、延期になった場合の期間について「2021年か2022年、どちらが好ましいか」と質問が飛ぶと、森会長は「第一は2020。今の段階ではそう答えるだけ」とし、2020年内の延期も含めて再び問われると、武藤総長が「もし延期になった場合でも、延期の幅についてはイエスともノーとも言えない」と時期への言及を避けた。

「なぜ検討に4週間も必要なのか。世界中のアスリートは一刻も早い決定を待っている」との質問には、森会長が「4週間についてはバッハさんにお聞きください」としつつ「何から始めるのか。その前に1カ月延ばすのか、3カ月延ばすのか、5カ月延ばすのか、シミュレーションする必要がある。そこからやらないと。会場の確保が第1の問題で、第2の問題は経費。むしろ4週間という時間で33競技にパラ(22競技)も加えた調整を1つ1つ、やっていく必要がある。考えただけでも大変な時間が必要。ただ、長々やっても仕方ない」と難しさを口にした。

聖火リレーについては26日のグランドスタート(福島・Jヴィレッジ)まで「あと3日かけて実施方法を検討する。26日は、私が必ず福島へ参ります」と森会長が約束し、武藤事務総長は「聖火リレーの中止は全く考えていない」とした。開催中に4週間が経過して延期となった場合は「慎重に検討し、合理的な判断をしたい」と武藤事務総長が補足した。また、集会や大規模イベント自粛を要請している安倍首相が、予定しているグランドスタート出席を、立場的に迷っていることを森会長に相談していたことも明かされた。【木下淳】