森喜朗会長、東京五輪を「今やめたら倍の金かかる」

森喜朗会長(2020年1月29日撮影)

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)は17日、新型コロナウイルス感染拡大を受けて大会を中止した場合の費用について「今、やめたら倍の金がかかる」と述べた。

国際オリンピック委員会(IOC)総会後の記者会見で、五輪の開催可否が争点の1つにもなった5日の都知事選に関する質問に答え「意識的に五輪のことをおっしゃった(候補の)方は慎重論、反対論、五輪をやめて、その金をコロナ対策に充てたらどうかという論調が多かったと思いますが」と言った後に「今、やめたら倍の金がかかるということを全く考えていない」と続けた。

あらためて「倍」の真意を問われると「まあ、例え話を言ったのであって」とした上で「常識的に考えてみても、一生懸命に投資したものが結局、完成を見ずして終われば、それは無駄になるんじゃないですか。さらに新しいものに対しては、保証しろ、弁償しろと言われれば誰がそれを弁償するのか。そういうことを考えれば、2倍にも3倍にもなるということが分かるんじゃないかな」と一般論として説明した。

新型コロナの収束が見通せない中での五輪開催に、国民から不安の声が上がっていることにも言及。「国民の皆さま、都民の皆さまは五輪のこともさることながら、今はやっぱりコロナのことだと思います。今はコロナのことで政府が挙げて進めておりますし、我々もそれに対しての関心もあり、準備も怠りなく用意をしていきたい。この中で、五輪を、どのようにまっすぐムードを盛り上げていくかということは、今は申し上げる段階にはないんじゃないでしょうか。今は都民の皆さま、国民の皆さまのご心配な点に、プライオリティー(優先順位)をつけて進めていくべきだと思います」と話した。

そして「都民は、現職の地位ではあるものの(小池百合子都知事が350万票を超える得票で再選したことに)五輪については逃げないで、きちんと説明をしていたことが僕は評価されたと。だから、あれだけの得票数になったと思っていますから。静かなる五輪に対する期待が、まだまだ、しっかり定着をしていると思っている。もう少し時期をへてから次の五輪に対する啓蒙(けいもう)、全面協力をお願いしていきたいと思っております」と、歓迎される五輪開催に向けて段階的な見通しを口にした。【木下淳】