「華麗なる橋岡一族」いとこ2人サッカー大樹と走り幅跳び優輝が“競演”

日本対ニュージーランド 前半、ドリブルする橋岡(撮影・横山健太)

サッカー男子日本のDF橋岡大樹(22=シントトロイデン)と、陸上男子走り幅跳びの橋岡優輝(22=富士通)が、ほぼ同時刻に五輪の舞台で“競演”を果たした。

華麗なるアスリート一族のいとこ2人が、互いの競技で日の丸を背負って、たくましく戦った。

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まさに、華麗なるスポーツ一族といっていいだろう。五輪、それも自国開催、注目度の高まる土曜夜。橋岡一族のいとこ2人が躍動した。なんと、橋岡姓の2人が違う競技で同日、ほぼ同じ時刻に五輪の舞台に立った。午後6時、まず大樹のサッカー男子準々決勝が茨城・カシマスタジアムで始まった。右サイドバック(SB)で先発。不動のSB、オーバーエージ(OA)枠のDF酒井が累積警告で出場停止。代役として、大会初先発した。

後半が始まったころの午後7時過ぎ、今度は、東京・国立競技場で優輝の陸上男子走り幅跳び予選がスタート。全体の3位と日本勢としては37年ぶりに予選突破した。いとこ同士が同じ時間帯にそれぞれの場所で戦った。

サッカー大樹の父和正さんは中学時代に陸上の短距離で全国大会に出場経験がある。互いの父が兄弟であることが血縁だが、それだけではない。陸上短距離で全国2位に入ったことがある母深雪(みゆき)さんと優輝の母直美さんも、小中高と同級生だ。中学時にはリレーでチームを組み、当時の日本中学記録を樹立した。深いつながりを持った2人から生まれた子が、そろってオリンピアンになった。

幼い頃から、2人とも体を動かすことが大好きだった。小学生のころには同じ陸上の大会に出場したこともある。当時は学年が1つ下の大樹の方が、足が速かった。その後違う道を歩んだが五輪で“再会”。「優輝が世間から注目されていて、自分も、という思い。優輝より注目されるようにならないと」と大樹。いとこから受ける刺激は、間違いなく力になっている。

6月22日、日本サッカー協会が発表する五輪代表に、大樹が入り、先に五輪出場が決まった。28日に五輪切符をかけた陸上の日本選手権を控える優輝から「おめでとう。今度は俺の番」と連絡がきた。優輝も、驚異的なジャンプをみせ、有言実行の優勝で、五輪切符をゲット。今度は、大樹が「おめでとう」と送り返した。まさに切磋琢磨(せっさたくま)を地で行くいとこ同士。「一緒に五輪に出るということもなかなかない。感謝している」と大樹。2人ともまだ22歳。世界を舞台に戦う物語は、まだ序章だ。【岡崎悠利】