東京パラ24日開幕 競泳・14歳山田美幸が日本最年少メダルへ挑む

東京パラリンピックは今日24日、国立競技場で開会式が行われ、開幕する。日本は過去最多の254選手が参加。史上最多27個の金メダルを獲得した東京オリンピック(五輪)のバトンを受け継ぐ。今大会の日本選手団最年少で競泳女子の山田美幸(14=WS新潟)は、背泳ぎ(運動機能障害S2)の50メートルと100メートルで日本史上最年少メダルに挑む。

10代半ばの成長期である。それでも山田の上昇カーブは想像を超えている。19年9月のジャパンパラ大会で50メートル背泳ぎを1分16秒16の日本新で制して注目された。20年11月の記録会で約5秒更新すると、今年3月の日本選手権で1分5秒44をマーク。19年世界選手権の銀メダル相当のタイムで、派遣基準記録を10秒以上も上回った。

もともとメインは自由形。昨年1月までは1つ障害が軽いS3で泳いでいたが、同2月のクラス分けでS2と判定された。東京大会ではS2は自由形が実施されないため、背泳ぎに本格的に転向した。この選択が吉と出た。「スタミナをつける練習をしてきました」というコロナ禍の1年で、世界のライバルたちをごぼう抜きにした。

小児ぜんそくを改善するために5歳から水泳を始めた。生まれつき両腕がなく、左右の足の長さも違うが「何か自分にできないものがあるなとうすうす気づいていたのですが、水泳の時は他の子どもたちと同じように泳げたので、水泳で人と違うなと思ったりはしませんでした」と、あどけない笑顔で振り返る。

パラリンピックを意識したのは9歳の夏。前回の16年リオデジャネイロ大会をテレビで見た。「歓声がすごかった。そして、インタビューを受ける選手がみんな笑っているんですよ。一生懸命に競い合うって、こんなに楽しいことなんだって感じて、私も世界の選手たちと一緒に泳ぎたいと思って、目指しました」。

目下、水泳と受験勉強を両立中。「得意科目は英語。暗記系の国語が苦手。勉強はゲームの誘惑にあらがいながら頑張っています」と、天性の明るさで聞き手も笑顔にさせる。「今大会の目標は」の問いには「メダルを取りたいです」と即答した。まっすぐな早春の14歳。東京大会が果てしない夢の始まりになる。【首藤正徳】

◆山田美幸(やまだ・みゆき)2006年(平18)9月15日、新潟県阿賀野市生まれ。保育園の時に水泳を始める。15年に身体障がい者水泳の全国大会で優勝。17年のジャパンパラ大会では200メートル自由形を制し、19年の同大会では50メートル背泳ぎと100メートル自由形の2冠。現在は4種目で日本記録を保持している。阿賀野市立京ケ瀬中3年。

<13歳-日本最年少記録>

日本最年少出場記録を持つ競泳男子の山田拓朗(30=NTTドコモ)は、5大会連続出場となった。04年アテネ大会に13歳で出場。前回16年リオデジャネイロ大会では50メートル自由形(運動機能障害S9)で銅メダルを獲得した。東京大会は派遣基準記録を突破できなかったがリレーで出場権を得たことで、個人種目出場の道も開けた。「派遣記録には届かなかったけど、リオの選考会よりタイムはよかった。本番では自己記録を切れるように頑張りたい。リレーはアテネ大会以来で若い選手がいい記録で泳いでいるので楽しみ」と前向きだった。

◆夏季パラリンピックの日本最年少記録 最年少代表は04年アテネ大会に13歳で出場した競泳の山田拓朗。最年少メダリストは84年ニューヨーク大会の陸上男子100メートル(視覚障害)で16歳で銅メダルを獲得した嶋津善範。最年少金メダリストは88年ソウル大会陸上男子スラロームの竹村克明と、12年ロンドン大会ゴールボール女子の若杉遥で、ともに17歳だった(※大会資料によれば、生年月日不詳でどちらが最年少かは不明)。

◆五輪の日本最年少メダル 先日の東京大会の新競技スケートボードの女子ストリートで西矢椛が13歳10カ月で制して最年少金メダリストになった。92年バルセロナ大会の競泳女子200メートル平泳ぎで優勝した岩崎恭子の14歳0カ月を抜いた。その後、同競技の女子パークで12歳11カ月の開心那が銀メダルを獲得して、日本最年少メダリストになった。

◆東京大会の日本選手団最年長選手 女子マラソン(視覚障害)代表の66歳の西島美保子が最年長で、馬術代表の63歳の宮路満英が続く。60代は2人だけでともに前回大会に続く出場。夏季大会を通じた日本人最年長は、16年リオデジャネイロ大会に68歳で出場した卓球女子の別所キミヱ。08年北京大会の陸上男子円盤投げで60歳で銅メダルを獲得した大井利江が最年長メダリスト。