7人制ラグビー日本代表セル・ジョセが世界驚かセル

円陣を組む7人制ラグビー男子日本代表FWセル(中央)(C)JRFU

日の丸を背負って戦う覚悟がある。フィジー出身の7人制ラグビー男子日本代表FWセル・ジョセ(29=北海道バーバリアンズ)は、東京オリンピック(五輪)出場を目指すため、3月に日本国籍を取得した。14年に来日し、目標に向かって走り続けた。北海道のクラブチームから4年に1度の大舞台へ、挑戦真っ最中だ。

   ◇   ◇   ◇

セルはフィールドに立つ日を待ち焦がれる。新型コロナウイルスの影響で日本代表の活動は休止となり、札幌市内のジムなどで個人練習に励む日々。目標の東京五輪は1年延期となったが「私のゴールは変わらない。金メダルを取ること」と前を向いている。

3月に日本国籍を取得し、日の丸を背負って五輪に出場することが可能になった。「面接では緊張したけど、最高の気分。チームに貢献したい」。ジョセ・セルから名前を姓名表記に変え、「セル・ジョセ」としての人生がスタートした。

14年に五輪出場を目指して来日し、北海道バーバリアンズに身を置いた。「五輪は世界で最も大きなスポーツの舞台。フィジーにいた頃からいつもテレビで見ていた五輪の競技に、ラグビーが加わったのはエキサイティングなことだった」。16年リオデジャネイロ五輪で正式種目となった7人制ラグビー。自身が最高峰の舞台に立つ姿を思い描いてきた。

同クラブからは同じフィジー出身のFWトゥキリ・ロテ(32=現近鉄)が、16年同大会に出場。セルも自慢のフィジカルを生かしたプレーで、同年から代表候補合宿に呼ばれるようになった。18年には7人制ワールドカップ(W杯)(米国)に日本代表として出場を果たし、五輪代表入りも濃厚だ。

昨年W杯日本大会(15人制)でのラグビーブーム、日本代表の活躍に奮起する。「代表チームのパフォーマンスは素晴らしかった。全国で盛り上がってみんなが楽しんでいた。日本のラグビーは成長し続けている。誇りに思う」。次は自分たちが五輪の舞台でブームを引き継ぐ。その先にも夢がある。「日本のトップリーグや15人制日本代表としてW杯にも出たい」。セルの挑戦は東京五輪がスタートラインでもある。【保坂果那】

<2大会連続選手輩出目前>

北のクラブチームが五輪の舞台に、2大会連続で選手を送り出そうとしている。セルが所属する北海道バーバリアンズからは、前回の16年リオ大会でトゥキリが選出された。ともにフィジー出身で日本国籍を取得。道協会会長も務める田尻稲雄理事(72)は「みんながバーバリアンズの名前を知ってくれる」と期待を寄せる。

同クラブは75年に創部した社会人クラブチーム。全国優勝4度で、女子チームやアイスホッケーチームもある。クラブは88年から招待選手制度として、ニュージーランドやオーストラリアなどから、毎年2~3人の選手を来日させ所属させる取り組みをしている。「ラグビーの本場の選手と交流することで高いレベルの技術や考え方を取り入れようと始めた」と同理事。下宿先などの住居、仕事などの面倒を見る。

セルもその1人。「彼らが日本人になって日本代表としてラグビーをしたいって決意を固めるのはすごいこと」と話していた。

◆セル・ジョセ 1991年2月9日、フィジー出身。もともとサッカー少年だったが、デラセラカレッジ(ニュージーランド)で17歳からラグビーを始める。オークランド大卒業後、14年北海道バーバリアンズ入り。197センチ、101キロ。家族は妻と1女。

◆7人制ラグビー日本代表 16年リオ五輪では4位。18年W杯(米国)は15位、同年のジャカルタ・アジア大会は銀メダルだった。国際大会のワールドシリーズは今季、現在第6戦まで実施され、16位。昨季は15位。日本協会は昨年12月に第2次五輪候補を選出しており、セルも名を連ねる。現在候補は29人(練習生含む)。五輪メンバーは12人に絞られる。