【コメント全文】吉田麻也「何のための五輪なのか」有観客再検討を訴え

スタンドの観客にあいさつし手を振る吉田(右端)ら(撮影・前田充)

<国際親善試合:東京五輪日本代表1-1同スペイン代表>◇17日◇ノエビアスタジアム神戸

東京オリンピック(五輪)日本代表の主将、DF吉田麻也(32=サンプドリア)が、17日のスペイン戦後、オリンピックの有観客開催を再検討して欲しいと強く訴えた。以下、吉田のコメント。

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五輪をやるにあたって、国民の税金がたくさん使われていると思うんです。なのに国民が見に行けないのは、じゃあいったい誰のための、何のための五輪なのか。アスリートは当たり前ですけどファンの前でプレーしたい。今日もそうですけどあと10分、苦しい時にサポーターの方々のエネルギーは確実に僕らの助けになる。僕らはトップトップじゃないので、その助けを必要としている。

JOCの山下会長もオンラインの壮行会でおっしゃっていましたけど、自分が小さい時に見たオリンピックでものすごく感動したと。僕らが子供たちにできることは、ただ家の中に閉じ込めて友達と会わずに事が過ぎるのを待つだけじゃないと思うし、もっともっとできることがあると思う。

僕も娘がいるし、僕の娘はたぶん僕のプレーを覚えてないと思うけど。そういう子供たちに絶対にいろんなものを与えられると思います。時差がなくてオンタイムで試合を見られるのは、僕が2002年W杯(日韓大会)の時にそうだったように、やっぱりものすごい感動と衝撃を受けるし。そのためにこそオリンピックを招致したんじゃないかなと個人的には思ってるので。

ソーシャルワーカーのみなさんが毎日、命をかけて戦ってくれているのは重々理解しているし、オリンピックができるだけで感謝をしないといけない立場にあるのは理解しています。でも忘れないでほしいのは選手たちもサッカーに限らず命をかけて、人生をかけて戦っているからこそ、この場に立てている。もっと言うとマイナー競技でこの五輪にかけている人はもっといると思う。そのためにも、なんとかもう1度真剣に(有観客開催を)検討していただきたいと思う。

家族もそうだと思う。じいちゃん、ばあちゃんだって、自分の孫がオリンピックに出る姿をリスクを背負っても見たいという人はいるだろうし。家族も、いろんなものを犠牲にして、我慢して、ヨーロッパで戦っている僕らをサポートしてくれている。家族も戦っている一員。その人たちが見られない大会で、誰のための、何のための大会なんだろうってクエスチョンがあります。真剣にもう1度、検討していただきたいと心から願ってますし、みなさん(報道陣)が発信してくれることを願います。