山本です。オールスターの激闘の直後に行われた小田原記念は、地元の郡司浩平の優勝で幕を閉じました。

ウイニングランをする郡司浩平。おめでとうございます
ウイニングランをする郡司浩平。おめでとうございます

1度は清水裕友にまくられながらも、華麗に井上昌己をさばいての番手まくり。表彰式後、出迎えた桐山敬太郎は「前もこんな優勝だったな。すんなりいかないな」と笑っていました。

表彰式後に桐山敬太郎(右)が郡司浩平を出迎えていました。桐山も復活が待たれます
表彰式後に桐山敬太郎(右)が郡司浩平を出迎えていました。桐山も復活が待たれます

今回の小田原記念は落車禍に見舞われました。3日目を終えて、本来9人が帰郷するのですが、繰り上がり選手が足りず、最終日だけの補充選手が入ったほどでした。特に目立ったのが頭部、特に顔面への負傷です。大塚健一郎は口腔(こうくう)内裂傷、坂本健太郎は顔の右半分に擦過傷を負い、痛々しい姿で帰郷。藤田竜矢もあごを骨折し、渡辺雄太も先日の落車で顔に擦過傷のあとが残っています。

自転車競技のスペシャリストである北津留翼が、この開催で実に興味深いことを話していました。

「フルフェースのヘルメットも考えた方がいいかもしれません。それが駄目でも顔の前にワイヤが1本あるだけでも違うんですよ」。

費用の問題、視野が狭くなる、あるいはヘルメットが大きくなれば逆にけがのリスクが上がる、など懸念材料はあるかもしれません。が、これだけ顔にけがをする選手が多いと、検討の余地はあると思います。7月の自転車競技のジャパントラックカップでも小林優香が顔から落車しましたが、ヘルメットのバイザーが衝撃を受けただけで大事に至りませんでした。

もちろん、競輪界が何もしていないわけではありません。たとえば、バンクの周囲を覆うアクリル板。小田原3日目に2人が激突するシーンがありました。もし、これが昔の金網だったら…と思うとぞっとします。もちろん、完全にけがを防げるわけではありませんが。

スピード競輪の時代、落車時の衝撃は大きくなっています。落車したいと思って走る選手はひとりもいません。真剣勝負だからこそ、発生する事故。落車を減らす努力はもちろんですが、けがを軽減するためにお金をかけることは将来にも必要な投資です。競輪選手が表彰台で最高の笑顔を見せるためにも議論してほしいと思います。【山本幸史】