- 森田優弥が笑顔で決勝12Rの成績表を指さす(撮影・野島成浩)
今回は、30日の立川F2「日刊スポーツ杯」最終日をリポート。メインのA級1、2班戦を制した森田優弥や、今節を最後にバンクを去る長谷井浩二らの思いをお伝えする。
各地で活躍する113期ルーキーの1人、森田優弥(20=埼玉)が大きな仕事をやってのけた。今月上旬のレインボーファイナル2着でA級2班に特昇してから3場所目。前2場所と同じく予選から連勝すると、決勝12Rは打鐘過ぎから逃げて押し切った。来期S級の橋本智昭らを不発にして1、2班戦初Vを果たし「勝てて、めっちゃうれしい。作戦は逃げるだけ。最終バックで風が強くて着外になると思ったら、3角で後ろに誰もいる気配がなかった。自分でも信じられない」と余韻に浸った。
- 駆けつけた東京ガールズとともに記念撮影する長谷井浩二(左から梅川風子、石井貴子、長谷井、石井寛子)(撮影・野島成浩)
ニューヒーローが誕生する約4時間半前には、管理棟が人であふれた。チャレンジ一般2Rで、デビュー39年目の長谷井浩二(57=東京)がラストラン。元岡山籍の古豪は後輩思いの人柄を表すように、レース後には親族や多くの選手、関係者からねぎらいの言葉をかけられた。
いくつもの花束を受け取り、「デビューから今まで、あっという間。競輪はオフがなく、1つ走ると、何日かしてまた競走。その繰り返しだから、他のことを考えてられない。まあ、でも、楽しかった。岡山の頃はよく飲み歩いた。一番の思い出は松戸記念(1982年8月)の決勝。俺は佐々木昭彦さんと木村一利さんを連れて先行。誘導のペースにつられて、仕掛けが早くなった。結果は木村さんが優勝したんだけど、藤巻昇さんに『お前はレースを乱して、競輪をつぶす気か』と怒られたよ。怖かったな」と振り返った。
- デビューからこれまでを振り返る田崎美佐夫(撮影・野島成浩)
一般1Rで5着の田崎美佐夫(51=山梨)は「もう駄目だね」と選手生命の終わりを悟った。長谷井とともに、競走得点が3期連続で70点未満になると、その平均点が低い30人が代謝制度の対象になる。かつてS級で先行勝負をしていたベテランは、今節で得点をアップできなかった。
「実はほっとしているよ。もう、点数を気にしなくていい。いつも成績がいいか悪いか考えて、心も体も疲れたからね。多分、今日で走るのは最後。それにしても、今まで楽しかった。若い頃は、頑張れば成績も賞金も上がった。選手になりたくてなった。競輪に感謝している。これからは、資格がある不動産関連の仕事をやってみる」。時折、寂しげに、レース前のアップをする選手を見やった。
- 立川競輪を伝える中継スタッフ(撮影・野島成浩)
なお、立川競輪は今節が今年のラスト開催。19年はG3戦線の幕開けとなる「鳳凰(ほうおう)賞典レース」(1月4~7日)で始まり、ラストを最高峰レースのKEIRINグランプリ2019で締める。開催を盛り上げたい思いは、レース中継を担当するスタッフも同じ。今年も精力的に選手インタビューやデータ、バンク状況、解説などレース情報を伝えたスタッフは、「鳳凰賞典からグランプリと、来年も立川競輪をお楽しみください」と呼びかけた。【野島成浩】