競輪、楽しんでいますか?

2月28日に終了したいわき平G3は、デビュー18年目の鷲田佳史のG3初優勝で幕を閉じた。

優勝は鷲田佳史
優勝は鷲田佳史

1月の四日市で落車して左肋骨(ろっこつ)と膝を痛めたが、前検日には「8、9割戻っている」、2予3着後には「9割戻っている」、そして準決3着後には「以前の状態に戻りました」と日を追うごとに上昇を口にしていた。その言葉の通り、決勝は鮮やかな差し足を発揮。4人落車のアクシデントに関係なく、鷲田の足色は他を圧倒していた。

ここまでF1優勝もなかったのは意外だが、この優勝で自信をつけたことだろう。さすが人材の宝庫ともいうべき88期生。「弟子の寺崎(浩平)君とまた同じ舞台(G1)に戻りたい」という希望がかなう日も近い。おめでとう!

菊池岳仁(左)に離れながらも、うれしい復帰後初勝利を挙げた横山尚則
菊池岳仁(左)に離れながらも、うれしい復帰後初勝利を挙げた横山尚則

横山尚則がヘルニアで戦列を離れてから約120日ぶりに復帰したのも今大会だった。その横山が3日目にうれしい復帰後初勝利。「ここまで長かった。最初の2カ月半ぐらいは寝たきりでしたからね。一時は“もう終わった”“このままでは社会のお荷物になってしまう”と思ったこともありました。腰痛のことなどいろいろアドバイスしてくれた先輩や仲間に感謝したい」と満面の笑みを浮かべていた。もう腰の不安はほぼないという。今後の活躍に期待したい。

シリーズ3勝と、復活ののろしを上げた桐山敬太郎
シリーズ3勝と、復活ののろしを上げた桐山敬太郎

復活といえばこの人も忘れてはならない。桐山敬太郎が4日間で3勝を挙げる大活躍。唯一敗れた準決も赤板から果敢に先行したもので、存在感は抜群だった。後輩・郡司浩平のG1全日本選抜Vが大きな刺激になった様子で「(決勝ではないが)全日本で誘導を引いて得るものがあった。G1を間近で見て刺激になった。年齢的に以前とは違う形でG1に出たい。もう主役にはなれないけど(郡司の)後ろを回って盛り上げたい」。

かつて「G1に最も近い」とまで言われた男。G1決勝で郡司の後ろを回れば…夢はまだかなう。

目標の決勝進出だけでなく、決勝2着で競輪祭出場まで決めた庄子信弘
目標の決勝進出だけでなく、決勝2着で競輪祭出場まで決めた庄子信弘
頭脳派レーサー桜井正孝も気合が入っていた1人
頭脳派レーサー桜井正孝も気合が入っていた1人
連日俊敏さが光った村田雅一はサウスポー
連日俊敏さが光った村田雅一はサウスポー
2予がもったいなかったが、シリーズを通して実力を見せた皿屋豊
2予がもったいなかったが、シリーズを通して実力を見せた皿屋豊
4日間存在感を示した朝倉智仁
4日間存在感を示した朝倉智仁
ベテラン健在を証明した水谷良和
ベテラン健在を証明した水谷良和

他にも、4日間主役を張った森田優弥、決勝2、3着の庄子信弘、西岡正一、地元のエース飯野祐太、頭脳派・桜井正孝、G3初出走の菊池岳仁、存在感を示した村田雅一、河野通孝、皿屋豊、朝倉智仁、吉田茂生、藤井昭吾、しぶとさ発揮のベテラン水谷良和…。取り上げたい選手はあまたいるが、スペースの都合上、またの機会に譲ろう。

悲しみを胸に4日間を戦い抜いた小埜正義
悲しみを胸に4日間を戦い抜いた小埜正義

最後に、今大会中に、千葉の新人・成清龍之介さん(享年21)が練習中の事故で亡くなるという悲しいニュースが入ってきた。当方も人の親として、胸がつぶれる思いだ。千葉勢、特に練習仲間の気持ちはいかばかりか。それに耐え、4日間戦い抜いた選手をたたえたい。【栗田文人】